1.今インターネット無料の賃貸物件の需要は大きい
今では賃貸物件に住むほとんどの方がパソコンだけでなく、スマートフォンも所有しています。特にスマートフォンの普及によって、今までパソコンを使わなかったような層でも、意識しないままにインターネットに接続するようになりました。
SUUMOやHOME'Sのようなポータルサイトでも、詳細検索で「インターネット無料」という条件が追加されているほどです。
実際、全国賃貸住宅新聞によって毎年発表されている「これがあれば家賃が高くても入居が決まる」設備ランキングで、インターネット無料が単身者向け、ファミリー向け物件のどちらでも1位となったのも2017年です。ファミリー向け物件では、昨年のランキング1位は追い焚き機能でしたが、それを追い抜いた形になります。
このことからインターネットは電気・水道・ガスに並ぶライフラインと言えるでしょう。
2.インターネット無料賃貸物件にするメリット
実際に賃貸オーナーがインターネット無料にするメリットを解説します。
2-1.空室対策になる
通常、入居者自身でインターネットを導入しようとすると毎月4,000円近いインターネット料金がかかります。それだけではなく、入居時には開通工事の手配、退去時には解約の手続きも必要で、これは入居者にとって非常に負担が大きいものです。
特に今までに何度も引越しを経験した方であれば、インターネットがすでに導入されている物件の便利さは簡単に想像してくれます。
インターネット「対応」の物件であっても、実際にフレッツや光コラボを提供している各社に開通の連絡をしても2週間~3週間は不通期間が生まれます。さらにもし立ち会い工事まで必要になると、その日はほとんど1日をインターネット開通のために空けなければいけません。
そのようなストレスがないので、単身者・ファミリー層どちらにとても魅力的な条件です。
さらに、賃貸ポータルサイトでも「インターネット無料物件」・「インターネット使い放題物件」といった形でカテゴリ分けされたり、特集されたりして、入居希望者に対しての露出も増えます。
2-2.賃料を下げずに物件価値があがる
周りにマンションが増えていくと、需要と供給のバランスから賃料値下げの圧力がかかります。しかし、周りがインターネット無料物件ではなく、自身の物件だけがインターネット無料物件であれば、その賃料の値下げ競争から離れられます。
個人でインターネットを導入するとかかる費用が4,000円程度です。そのため、インターネット以外が同じような条件の物件であれば、入居者はその家賃の差がインターネット料金以内の差であれば、手間を考えても、特別インターネット回線にこだわりがあるというような方を除いて、インターネット無料物件を選びます。
実際にオーナーがマンションに一括でインターネット回線を導入する場合、個人で1回線ずつ引くよりも低価格に抑えられます。その結果、オーナーが負担するインターネット代を賃料に反映させたとしても、個人でインターネットを契約するよりもお得なので、周りが賃料を下げている中、実質的には賃料を下げることなく入居希望者を獲得することができます。
また人は「ないものを得る」よりも、「所有しているものを失う」方が心理的に大きな苦痛を感じます。そして一度上げた生活水準を下げることにも抵抗を感じます。
そのためもし入居者が引越しを考えたときには、まず同じ家賃で物件を探すことが多いです。すると、インターネットが導入されていない物件の場合は、その分が固定費として支出が増えることになり、年間にすると約50,000円です。それだけの支出増はもったいないと感じる方も多いですし、インターネット代を引いた物件を探すとなると条件を下げることになります。
どちらも心理的な抵抗が大きい状況となるので、転勤や家族が増えたなどの特別な事情以外では引越しを考えたとしても思いとどまらせる力が強いです。
3.インターネットを導入するコスト
賃貸物件をインターネット無料にするメリットをお伝えしましたが、入居者が無料になるということは、その分をオーナーが負担するということです。ここでは実際にインターネットを導入するコストについて解説します。
3-1.固定回線を準備して、各戸へ分配する(有線LAN方式)
今あるインターネット無料物件で多くの形式がこれです。インターネット回線を建物まで引き込んで、各部屋までLANケーブルで配線してLAN差込口を設置します。入居者は差込口にLANケーブルを接続すれば、そのままインターネットを使えるようになります。
そしてWi-Fiを使いたい場合は、入居者自身で無線LANルーターを用意する必要がありますが、ルーターに接続するだけなので工事の必要がありません。
導入コストは提供している会社によって大きく異なりますが、設備工事料金を一括で支払ったときはイニシャルコストで30万円、回線と保守費用で毎月15,000円程度です。
3-2.全体をWIFI対応にする(無線接続方式)
最近の物件で増加傾向にあるインターネット無料です。インターネット回線を建物まで引き込むことは同じですが、無線接続方式では、共用スペースに無線アクセスポイントを設置します。
入居者は配布されたパスワードを入力するだけで、無線LANルーターも準備することなくすぐに利用を開始することができます。
導入にもイニシャルコストで20万円、回線と保守費用で毎月10,000円程度なので、有線LAN方式よりも低コストでインターネット無料物件として提供が可能です。
ただしRC造りの物件では電波が通じにくかったり、戸数が多いと接続速度が遅くなったりして、逆に入居者にとってのストレスになる可能性もあるので、導入する場合は十分に検討することが大切です。
4.インターネット無料の賃貸マンションは空室対策に重要
スマートフォンが広く普及したことによって、インターネットは第4のライフラインとも呼ばれるようになりました。増えているとはいえ、まだまだインターネット無料の物件が少ないです。そしてこれからは、「インターネット無料」が当たり前になるかもしれません。
そのときに導入しても差別化になりません。だからこそ、今のタイミングでインターネット無料に踏み切って賃貸運営することで収益を維持します。そしてインターネット無料が当たり前になったタイミングでまた別の差別化となるIoTの導入など追加投資を行うことで、周りの競合物件とは常に一線を画する入居率を維持できるでしょう。
インターネット導入のコスト・速度は会社によって大きく異なります。そして、一度導入すると切り替えが難しいので、しっかりと比べたうえで決めるようにしてください。