1.売れない家や土地、いったいどうしたらいい?
家や土地が売れない場合、販売する手法を変えるか、所有しながら有効活用することを考えましょう。
①土地を売る方法を変えてみる
土地や建物を売りたいのに、なかなか売れない場合、
「ニーズがない」「価格が高い」などの原因が考えられます。
価格については調査を行い、適正価格にすべきです。
また、売却の方法は、不動産会社に頼むほかにも、次の方法があります。
1.不動産専門のフリマサイトを活用する
空き家・遊休不動産売却専門サイト「リフマ(https://www.refma.jp/)」というサイトがあります。
不動産は、通常、不動産会社を介して取引され、売主や買主は、契約が成立すると、物件販売価格の3%〜5%を仲介手数料として不動産会社に支払います。
「リフマ」では、売りたい人と買いたい人が直接取引するため、仲介手数料がかからないのです。
これは、不動産業界で初めてのシステムです。
フォームに物件内容を入力するだけで簡単に売りに出すことができ、掲載料も無料です。
2.「空き家バンク」を利用する
「空き家バンク」は、主に自治体や委託を受けた団体にとって運営されているシステムで、空き家の所有者と利用希望者をインターネットサイト上でマッチングさせるためのものです。
こちらも登録料は無料です。
空き家を所有する人は、団体に登録カードや全部事項証明書、間取り図などの物件資料、画像データなどの次の書類を提出し、登録を行います。
自治体などは、空き家の所有者と利用希望者のマッチングのみ行い交渉や契約は当事者間で行います。
希望すれば、不動産会社の利用も可能です。
②所有したまま有効活用する
土地や建物を売らずに収益を上げる方法もあります。
近年は民泊や太陽光発電など、選択肢が増えています。
1.物件を賃貸に出す
住宅を賃貸に出すと、長期的に低収入が見込めます。
入居募集を行うのは時間と手間がかかりますが、一度入居が決まれば、安定収入が得られます。
いっぽうで経費もかかるので収支計算はきっちり行うべきです。
かかる経費は、管理会社に支払う手数料や固定資産税、火災保険、住宅ローンの返済、修繕費などです。
注意すべき点は「空室リスク」があることです。
空室期間があることで、賃貸経営が赤字になってしまうようなら賃貸経営は諦め、売却を考えましょう。
ある程度の空室があっても黒字が継続するなら賃貸経営を行うべきです。
住宅ローンを支払い中の物件を賃貸に出すときは要注意です。
銀行に報告せずに勝手に賃貸に出すと、特例はあるものの、原則的には一括返済を求められるなどのペナルティがあるからです。
どうしても賃貸に出したい場合は、事前に銀行へ相談して投資用ローンへの切り替るなどの対応をしてもらいましょう。
2.民泊を行う
近頃、不動産業界では民泊が注目を集め、実際に行う人が増えてきました。
同時に利用者も爆発的に増加しています。
「Airbnb(エアビーアンドビー。https://www.airbnb.jp/)」というサービスは空き屋を貸したい人と借りたい人をマッチングさせる、アメリカ発のインターネットサイト。
190カ国、3400以上の都市で利用され、知名度も非常にあります。
民泊を始めるための初期費用は、数十万円~数百万円程度と幅がかなりあります。
間取りのリフォームを行う、スケルトンにするなどの大規模な工事が伴うと高額になりますし、通常のアパート経営では必要がない、家具家電、トイレットペーパー、シャンプー、ドライヤーなどのアイテムを揃える必要があるからです。
維持費もかかるので収支計算の際は注意が必要です。
シーツやタオル類の取り換え作業や洗濯、水道光熱費、Airbnbへ支払う3%の手数料などのランニングコストがかかります。
3.その他の土地活用を行う
ほかにもコインランドリーにする、アパートを建てる、太陽ソーラーを設置する、貸駐車場にする、コンビニ、トランクルームなどに活用するなどの方法もあります。
土地活用の際に注意すべき点は、自分の思った通りの活用ができない場合があるということです。
日本の土地の大部分には「用途地域」が定められています。
「調整区域」というエリアに高層マンションは建設できないことがほとんどですし、「第一種低層住居専用地域」には何千平方メートルという大きな店舗は作れません。
用途地域に関しては、役所の建築関係の部署に行けば教えてくれますので、予め確認しておくとよいでしょう。
2.所有したまま管理する場合は?
何もしない空き家でも、固定資産税や都市計画税などの税金や、建物の修繕、庭木の剪定や草むしりなど、空き家の維持管理には費用がかかります。
①所有を続けるとかかる費用
・固定資産税
・都市計画税
・火災保険料
・水道光熱費
・修繕費用
などが定期的にかかります。
遠方に住んでいる、会社勤めで忙しいので庭木の手入れができない、などの人は、空き家管理業者に委託するという方法がるので検討すべきです。
空き家管理料金は業者や委託内容によって異なりますが、月に5,000~10,000円程度が多いようです。
②空き家を放置することのリスクは?
株式会社野村総合研究所が、2013年に発表した、興味深い統計があります。
2013年の総住宅数は6,062万9千戸、空き家数は819万6千戸、空き家率は13.5%。
これらの有効活用が進まないと2033年には総住宅数7,106万7千戸、空き家数2,146万6千戸、空き家率30.2%になるというのです。
そのために、行政は様々な措置を行っています。
その代表の1つが「空き家対策特別措置法」です。
これは、適切に管理されていない空き家等について、その状態を改善するため定めた法律です。
倒壊等著しく保安上危険となる恐れがある、衛生上有害となる恐れがあるなどの理由で空き家を放置することがふさわしくないと判断された場合、市町村は強制的に立入ができ、措置の指導や勧告、代執行を行えるのです。
「代執行」には2種類あり、ほとんどが「行政代執行」です。
所有者に何度も改善を要求しても改善が見られないとき、所有者の許可なく行政が庭木の伐採や建物の解体などを行います。
その作業の費用は所有者に請求をします。夜逃げなどで請求先がない代執行は「略式代執行」と呼ばれ、作業の費用は財産管理制度を使って支払いを行います。
3.まとめ
国立社会保障・人口問題研究所は「日本の世帯数の将来推計(全国推計・平成25年1月推計)」によると、一般世帯の総数は2019年まで増加、5,306万5千世帯でピークを迎え、その後は減少に転じ2025年には5,243万9千世帯、2035年には4,955万5千世帯にまで減少すると予想しています。
空き家を所有する可能性は、相続などにより、将来の自分にも降りかかってくることが予想され、少ないものではありません。
少しでも損をしないために、今から調査、実行することが必要です。