1.ライナフが資金調達をした背景
不動産管理に特化したIoTデバイスとSaaSを提供する不動産テック企業のライナフが総額3.2億円の資金調達を実施
株式会社ライナフのプレスリリース(2018年1月25日 10時10分)不動産管理に特化したIoTデバイスとSaaSを提供する不動産テック企業のライナフが総額3.2億円の資金調達を実施
2018年1月25日、株式会社ライナフは事業拡大を目的として新たに伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社をリード投資家に、株式会社長谷工アネシス、住友商事株式会社、株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズ、既存投資家の三井住友海上キャピタル株式会社を引受先として総額3.2億円の資金調達を実施したことを発表しました。
ライナフはスマートロックを始めとしたIoTデバイスの提供と、IoTデバイスを連動させた不動産サービスを提供することで、これまで「広さ」や「機能」といったハード面が重視されていた不動産において、「サービス」などのソフト面が重視させる変化へと対応させてきました。
そして今回の資金調達ではさらにサービスを拡げていくための戦略として、大手の不動産プレイヤーとの資本・業務提携に至りました。
各投資家との具体的な今後については次のようなシナジーが期待されています。
長谷工グループのサービス関連事業持株会社である株式会社長谷工アネシスとは、マンション建設や不動産事業並びに住宅関連サービスへのICT活用について検討していく予定です。
住友商事株式会社とは、同社が保有する不動産や販売しているマンションにおいてのサービス導入を検討していただく他、商社としての機能を生かした海外展開の支援を期待しています。
また、福岡銀行、親和銀行、熊本銀行を傘下に持つふくおかフィナンシャルグループのVCである株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズとは、そのネットワークを活用した九州地域での顧客や提携先の紹介等のサポートが期待されます。
今回の資金調達におけるリードVCである伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社からは、当社の企業価値向上に向けた経営体制の強化、伊藤忠グループが有するネットワークを活用した事業機会の創出を支援いただく予定です。
既存投資家である三井住友海上キャピタル株式会社からは、今後も当社の企業価値向上に向けた経営体制の強化に関する支援を受けるとともに、三井住友海上グループが有するネットワークを活用した顧客や提携先の紹介等の事業機会の創出に向けた協業を展開していきます
2.ライナフが提供するオーナー向けサービス
ライナフは不動産オーナー向けに、大きく3つのサービスを提供しています。
2-1.Ninja Entrance
Ninja Entranceは入居者が鍵を使わずにエントラスを開錠できるようになるシステムです。指定のアプリをインストールするだけで、そのアプリをインストールしたスマホを持った入居者が近づくと、センサーが感知してオートロックを開けることができます。
それだけでなく、鍵の有効時間の設定もできるのでより高いセキュリティの機能を提供が可能になります。
また導入のための大きな工事も不要で、今利用しているオートロックに機器を設置するだけなので、従来の同様のシステムに比べて、導入コストは1/5で済みます。そのため、手軽に物件の価値を高める手段として注目されています。
その他のスマートロックについては以下にまとめています。
スマートロックの活用事例・安全性・注意点【おすすめ製品も紹介】
もくじ1.スマートロックについて2.スマートロックの活用事例3.スマートロックの安全性4.スマートロックの注意点5.スマートロックの代表的な製品6.スマートロックについてのまとめ1.スマートロックにつ
2-2.スマート内覧
内覧管理業務を効率的に行えるようになるサービスです。ライナフが提供しているスマートロックであるNinja LockとWEBカレンダーを連動させることによって、内覧可能な空き時間をひと目で確認できるようになります。
今までの電話での確認など不要で、空いている時間を見ながら、好きな時間に内覧予約ができるようになります。さらにスマートロック連動なので、バーチャルキーを使うことで、部屋に単独でも内覧へ行けます。そのため、忙しい会社の人が夜間に内覧を希望していたり、管理会社が休業日のときにしか都合がつけられないといったりした場合でも、内覧できるので、入居希望者にとってもメリットです。
室内の状況については、タブレットと連携させてカメラ機能を使ってモニタリングできるので、内覧希望者が単独で行ったとしても、問題がないように確認することができる点も安心です。
スマート内覧でも特に他社と異なることは、スマートロック・内覧の予約機能・分析機能がすべて統合されたシステムとして利用できるところです。内覧に関連する管理業務をまとめて管理できるので、効率的に業務を進めることができます。
2-3.スマート会議室
貸し会議室・レンタルスペースの物件を運営しているオーナー向けのサービスになります。
今までのレンタルスペース運営では、利用希望者の予約調整などの顧客対応、鍵の受け渡しや運営管理のために多大な人件費がかかっていました。
しかしスマート内覧と同じ様に、スマートロックのNinja LockとWEBカレンダーを連動させることで、予約調整を無人化することができ、24時間対応で予約状況の確認・予約が行えるという利用者にとってもメリットが大きいサービスです。
さらにスマートロックで時間制限付きの鍵を発行することにより、当日は鍵の受け渡し不要で利用してもらうことができます。万が一に備えてのブラックリスト機能も準備されているので、たとえば、利用後の状態が汚かった、次の利用者に支障をきたしたというようなトラブルになったときは、ブラックリストに反映させることで、選択されたユーザーは予約不可とすることができます。
予約管理・顧客管理・決済管理・入退室管理まで、スペースレンタルで必要となる業務を、スマート会議ひとつで管理することができるので、各業務に合わせて複数のシステムを導入し、管理・利用しなければならないコストも抑えられます。
今まで空室になっていた場所を貸し会議室などのレンタルスペースとして運営するかで、空室対策につながり、収益を生み出せる場所として活用できるようになるのもメリットです。
スマート会議室の導入によって、難しかった日程・時間でも営業可能になり、利益を増やせる手段となる魅力があります。
3.まとめ
ライナフは今までに何度も資金調達を行い、その都度、不動産テックの領域でサービス拡充・普及を進めてきました。
賃貸経営を行ううえでも、これからIoTのような先端技術を導入して他物件と積極的に差別化を行い、効率的な運営をできるようにしていくことは収益増加にもつながるはずです。
「不動産テック」と言われるように、ライナフを始めとして様々な企業が不動産業界にテクノロジーを導入しようと考案しています。メリットとリスクを理解しながら活用していければ、物件として高い資産価値を維持できるでしょう。