不動産査定は、ネットで気軽に頼めるようになりました。
インターネットで「不動産査定」と調べると、複数の不動産査定サイトが提示されます。しかし、中には「不動産査定ソフト」が出てくる場合もあります。業者に査定を依頼する不動産査定サイトに対して不動産査定ソフトとは何でしょうか?その概要をご紹介します。
1.不動産の査定ソフトとはどういうものか?
不動産査定ソフトは、不動産業者が売却希望主からの査定依頼や自社で購入した不動産の売却価格を決定するうえで利用する査定のための1つのツールです。つまり、一般には使用されません。
不動産の価格は、路線価、公示価格などに加えて、近隣の同様物件の直近売却価格、敷地面積、建物面積、道路との設置状況、築年数、日当たり、マンションであれば階数など多くの要因が複雑に絡み合って決まるものですので、大量のデータを必要とします。不動産査定ソフトは、その過去の様々な不動産のデータを整理し、査定時の試算のために利用されます。
一般の人が不動産査定をしたい場合は、不動産一括査定サイトなどを利用したほうが、簡単で、時間もコストもかからず、なおかつ専門家の判断が入っているので、正確でもあります。
2.個人向けで無料のおすすめ不動産査定ソフトは「Excel_売買ナビ」
しかし、どうしても自分で査定したい、あるいは小規模の不動産会社を経営するにあたって査定することが業務上必要である、などの場合は、ネット上に簡単に使えるおすすめソフトがあります。それがExcel_売買ナビ」です。ここではまずそのソフトのご紹介をします。
Excel_売買ナビとはどういうソフトか
不動産査定ソフトの中で、有料のものならば「価格査定マニュアル」のほか、プログラムを組んだ本格的なものがありますが、無料となるとエクセルの域を超えるものはありません。その中で「Excel_売買ナビ」が1番支持され、ダウンロード数も多いソフトです。
このソフトは不動産の査定額を算出するよりは、むしろ不動産取引の際に必要となる諸経費を算出することに用いられます。固定資産税の清算金も、ローン計算もできるので不動産会社の担当者にとっては、非常に使い勝手が良いものです。
ただし、「Excel_売買ナビ」は基本的には個人の住宅の売却用です。
査定価格算出は簡易なエクセルか、膨大なデータを持った専用ソフトか
一般的に、業者が使う不動産の査定価格算出ソフトとして簡易なものは、上で挙げた有料の「価格査定マニュアル」と無料の「Excel_売買ナビ」程度しかありません。なぜ不動産査定ソフトがあまり存在しなのかというと、以下の通りです。
- 査定をするには、計算式よりも算出の根拠となる「取引事例」の方が重要
- 計算そのものは複雑ではないためエクセルで十分
- 簡易でシステムが固定されたソフトでは、1つ1つ異なる不動産の条件に対応できない
そういう意味では、取引事例は自分で別の方法で集め、計算だけをエクセルにさせればいいわけですし、エクセルであれば汎用性が高いので、不動産の多様な条件でも、手作業で表の計算式を直すなどの方法で対応が可能なのです。
3.個人利用であれば、不動産査定サイトの方が便利
上で述べたような諸経費の計算ではなく、本当に査定価格を自分で出したい、という場合はやはりネット上の不動産査定サイトを使ったほうが便利でしょう。その理由は以下の通りです。
個人が不動産査定ソフトを使うのは難しい
不動産を査定する上での第1歩は、物件と近隣の条件が似ている物件の直近売却事例を数多く集め、入力することです。そして次に、駅までの距離、用途地域、路地状敷地の有無、崖地の面積、接面道路の状況、道路との高低差などの宅地の条件を入力します。すると機械的に算定した査定額が出てくる、というのが不動産の査定ソフトです。
しかし不動産の価格は最終的には需要と供給の関係で決まりますから、ここにその物件が一般の買主にとってどれだけ魅力的かということや、近隣の景気動向、あるいは近くに新駅ができる予定などの将来的な主変環境の変化を人間の判断で点数化して加味する必要があります。
これらがすべてそろって、妥当な査定額が算定されます。
これを不動産に関する初心者が個人で行うということは、かなり困難です。まず最初の取引事例が集まりません。中堅から大手の不動産会社であればデータベース化されていて、営業所の端末でも一発で出せますが、個人の場合はネットで1つ1つ拾うしかありません。また最後の、その物件の目に見えない価値を算定して数値化することは経験がなければほぼ無理でしょう。
ですので個人がこれらのソフトを用いても、査定を行うことは難しいのです。
査定だけなら専用サイトの方が便利
以前であれば査定のためには不動産会社回りをして1軒1軒依頼していくしかありませんでしたが、しかし今は不動産査定サイトという便利なものがあります。目的が不動産の査定だけならば、HowMAのような査定サイトを使えば、感覚的に入力するだけで瞬時に査定価格が手に入ります。HowMAのバックには膨大な量の取引事例がビッグデータとして存在していて、そこに人工知能(AI)が判断を加え、適切な取引事例や流通性の修正、個別格差修正、時点修正なども加味してくれますので、売主は入力するだけの作業で済みます。
なおかつ、HowMAは匿名で利用できますから、不動産会社からの営業電話もかかってきません。
査定額の妥当性を知りたいなら、複数を比較するのがベスト
しかしそのHowMAを使ったとしても、その査定額は完全に正確なものではありません。あくまで近隣の類似事例などをベースに算出した仮説です。したがって、その仮説が正しいのかどうかを判断するためには、やはり複数の査定を入手してそれらを比較検討することが1番でしょう。
そのためには、NTTグループの「HOME4U」などの一括査定サイトで複数の不動産会社に全く同じ条件下での査定を出してもらって比較検証する方法がベストです。算定するうえでの路線価や近隣物件の売却情報などはどの不動産会社にとっても共通の与件ですが、最後の人間の判断の部分は各社の思惑や見通し、あるいは情報収集力と分析力に左右されますので、会社によってかなり変わります。したがって、それらを比較検討すれば、自分なりに「このあたりの金額が妥当なようだ」という相場観を持つことができます。
売却が目的なら、一括査定サイトから訪問査定を
ここまでが、「妥当な査定をとる」ための方法でしたが、さらに1歩進んでそれをもとに仲介業者を決め、売り出し価格を決め、というような段階に進む場合は、やはり一括査定サイトから始めて、以下のようなステップを踏むことがおすすめです。
①一括査定サイトでに物件情報を入力する
査定をするための基本情報を入力します。住所、広さ、間取り、所有者の連絡先などです。
②査定を依頼する不動産会社を複数選ぶ
営業テリトリー、年間査定件数、自己PRトなどを参考に、不動産会社の一覧から査定依頼をする会社を選びます。このステップがなく、自動で近隣5社などを選ぶサイトもあります。
③不動産会社からメールで簡易査定が届く
これは簡易査定ですから、まだ現地に入っておらず、過去の取引データなどだけで算定した査定額です。机上査定とも言います。
④査定する会社を選んで依頼する
その中からまた会社を選び訪問査定を依頼します。
⑤不動産会社が現地踏査して訪問査定をする
ここで詳細な、かなり現実に近い査定が出てきます。
⑥仲介契約を結ぶ
その中で不動産の売買を委託する仲介契約を結びます。
⑦営業活動が開始される
このような流れを基本に物件は比較的妥当な価格で販売されていきます。当然中には悪徳業者もいますから、このように複数回のスクリーニングを行うことで、そのような業者を排除できる効果もあります。
まとめ
以上、個人の、不動産売買に関わったことのない初心者、部外者が物件を売却したい場合は、不動産の査定無料ソフトなどを使って自分で作業をすることは放棄して、不動産査定サイトなどで業者に丸投げすることが、結果的に手間もかからず、現実的な査定額が手に入るのでおすすめです。
しかし出てきた査定額に対する判断、複数の候補の中から契約を結ぶ不動産会社を選定する判断、最終的な売り出し価格をいくらにするかの判断は、自分がするしかありません。ですから、手間は省略しながら、資料はしっかり読み込んで正しい判断ができるようにしましょう。
弊社でも不動産査定を行っております。相談は無料ですので、下記よりお問い合わせください。
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