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【不動産オーナー向け】保証会社選びの注意点と落とし穴【委託契約】

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住まいを借りる際、保証会社加入を入居条件とされることは、今や賃貸借契約の当たり前と認識されています。もはや賃貸業界の慣習となっている感まであります。

では、いきなりですが質問です。

自身のマンションの入居者がどこの保証会社と保証委託契約を結んでいるのかをご存知ですか?

管理会社に任せっきりだから知らないという方が多いのではないでしょうか?
実はそれって意外と問題ありで、保証そのものが無効になるトラブルに見舞われる危険性が含まれていたりします。

今回はそんな保証会社を選ぶ際に気をつけるべき注意点と、トラブル回避のポイントをお伝えします。

まずどこの保証会社かを知る


保証会社は、賃借人となる入居者とのあいだで保証委託契約を結び、入居者が賃料の滞納など債務不履行した場合、入居者に代わり賃貸人である所有者や管理会社に賃料等を代位弁済する会社です。

現在全国で140社以上あり、リーマンショック以降の賃料滞納者の増加とあいまって業界全体の業績は堅調です。ただ賃料を保証して支払う業務の性質上、当然、倒産する会社もでています。

連帯保証の役割を代行する保証会社が倒産するということは、保証のない賃貸借契約を生むことになるので、健全経営で財務体質の良い保証会社を選ぶことはオーナーにとって重要項目のひとつになります。

しかし、保証会社選びは管理会社任せで、どこの保証会社のどんな商品を利用しているかを知らないオーナーの方が多いのが実状のようです。

まず、利用している保証会社のことを知ることが必要です。管理会社の担当者に各入居者の加入保証会社のリストと契約内容を開示してもらうよう依頼をしてください。

保証契約引き継ぎ問題【保証委託契約だと大変…】


どこの保証会社かがわかり、契約内容を確認した後に必要になるのが、保証委託契約の引き継ぎができるかどうかの確認です。これができない保証委託契約だと、あとあと大変なことになります。

管理会社とうまくいっている間は問題は表面化しませんが、管理会社との関係悪化から管理契約の解除をしようとした時、思わぬ問題として持ち上がることがあるのが保証委託契約の引継ぎ問題です。

保証委託契約は通常、保証会社と賃借人である入居者との間で交わされます。この契約に管理会社は直接介入しません。しかし入居者が直接、保証会社を選ぶことはなく、管理会社が指定する保証会社と契約を進めることになります。

管理会社が保証会社を選ふ立場にあるので、保証会社の目線で言えば、顧客となるのは保証委託契約を結ぶ入居者ではなく、多くの入居者を抱える管理会社ということになります。当然、指定をうけるためには営業活動を行います。保証内容の充実を図ることはもちろんですが、場合によっては営業上、管理会社の要望を飲み込む必要があることも発生します。

顧客であるその管理会社から他社に管理が切り替わる時、保証契約を引継ぎできないよう取り決めするのもそのひとつです。管理会社にとっての最も大きなマイナス要因は管理解約です。その管理解約抑止、または解約しにくい足枷のように「保証契約引継ぎ不可」を利用する動きです。

保障会社が引継ぎ不可の実例


管理の相談で、当社に来社したAオーナーのケースでは、担当者の対応に不満が募り、改善を求めるも実らず、そのことを上司に伝えるも埒があかない状態が続いたため契約解除を意思決定。担当者と解約時期を詰めていた際に耳を疑う言葉が発せられたと言います。

担当者:「2月末で管理が解約となった場合、入居者の保証委託契約も同時期に終了します。」

Aオーナー:「どういうことです?」

担当者:「ですから、当社との管理契約が解除された場合は、引き継ぎができずに保証委託契約が終了します。」

Aオーナーにとっては寝耳に水でした。保証会社と入居者が保証委託契約を締結していることは聞いてはいたものの、会社名や保証内容を気にしたこともなく、担当者からも説明されたこともありませんでした。

表向きは、管理会社が変更となった場合、新しい管理会社と協力態勢が取れるとも限らないので、変更時点で保証契約は終了することが事前に保証会社側で取り決めさられていると言うのがその理由です。

それが困るなら管理を続けたら?とでも言いたげな担当者の態度にAオーナーは覚悟を固め、当社に管理変更の相談を持ち込まれました。

結局、当社からAオーナーに対し、別の保証会社を紹介、その保証会社には今回の経緯を考慮してもらい、また加入者数のスケールメリットを理解してもらったので、ほぼ同条件で保証料を減免するプランで全戸数引き受けてもらうことかができました。Aオーナーは「保証会社のことまで考えてなかった…」と苦笑いされていましたが、引き受けの会社があって良かったものの、同じ業界に身を置く立場としてなんとも後味の悪い結果となりました。

管理会社が変更になると協力関係がとれない可能性が少なからずあることは理解できますが、保証会社にとって保証契約の引継ぎがなされると、新たな管理会社との接点が増えるので取引先の拡大のチャンスとなりますから保証委託契約の引継ぎを不可にする理由が見当たりません。

こうした制約を設けることは、大手と呼ばれる保証会社ではほとんど見当たりません。中小の、特に出始めたばかりの会社や、管理会社が自社開発した保証制度にこうした制約が見られます。前者は早期に顧客先を増やそうとするあまり、管理会社本位の過剰な制約を作ってしまいがちです。後者は管理会社の自社商品なので他社の管理となれば対応できないと当然の如く主張します。

こうした引継ぎ不可の制約があることを事前に説明を受けているとまだ判断、交渉、万一の場合の覚悟もできますが、きちんと説明してくれる管理会社や担当者は少ないのが実状で、管理解約時に思わぬトラブルになるケースがあるので事前に対策を打っておく必要があります。

保証会社でトラブル回避する為の2つの質問


契約中の管理会社にはすぐに次の二つの質問をしてください

  • 保証会社はどこを利用していますか?複数の場合はリストをください。
  • 万一管理会社が変更になっても保証委託契約を引き継いでくれる保証会社ですよね?

この二つに対する回答次第では、保証会社の変更、覚書きの提出など管理会社へ要求を的確にする必要があります。わからないことがあるようでしたらお問い合わせください。

実例のAオーナーのように腹立たしい思いをされる方が少なくなることを願います。

由木 正伸

1971年生まれ、大阪市出身。1998年から不動産業に携わり、2006年に(株)エスタス管財を創業。不動産管理業を不動産業ではなく、サービス業と捉えオーナーサポートを展開。アジアの留学生への住まいの提供。元気な高齢者に賃貸市場を開放しようと企画するなど、あらゆる「住まい」の窓口としての役割を担うことを目指している。

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