総務省はふるさと納税ポータルサイトを準備して、ふるさと納税のしくみや税金の控除について解説しています。
ですが、税金の控除については給与所得を基準にした表だけです。
不動産投資をしている方の多くは会社勤めをしながら副業でやられています。この記事では、不動産所得がある場合のふるさと納税限度額の違いや、ふるさと納税をするときの注意点をお伝えします。
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1.給与とは別に不動産所得がある場合のふるさと納税限度額
ふるさと納税の限度額は不動産所得があれば、その分だけ上限額は上がります。ふるさと納税は給与所得者のみに認められた特権というわけではありません。
そしてふるさと納税は所得額を基準に限度額が定められているので、合算して計算することになります。
1-1.ふるさと納税限度額の計算にはツールが便利
ふるさと納税の仕組みをご自身で調べて、イチから計算するのもいいですが、今は便利なツールがたくさん出ています。
たとえば「ふるさとチョイス」(https://www.furusato-tax.jp/example.html)というサイトが提供している『「ふるさと納税」還付・控除限度額計算シミュレーション』です。
ふるさと納税の限度額は、実際には所得だけでなく家族構成、医療費控除や住宅ローン控除などによって違いがあります。これを使えば、自分で計算式を作らなくても必要な項目を埋めるだけで自動計算してくれるのです。
1-2.ふるさと納税限度額の計算式
もちろん限度額は自分で計算することもできます。そのような場合はここで紹介する計算式にご自身の状況を当てはめて算出してみてください。
【個人住民税所得割額 × 0.2 ÷ (0.9-所得税率×1.021)+ 2000】
住民税は、均等割と所得割という2つで構成されています。
均等割は、一定の所得がある人は全員、その所得の差に関わらず同じ金額を負担するものです。
一方で所得割は、納税する年の前年の1月1日から12月31日までの年間所得に応じて異なる税率が適用されます。
ふるさと納税の限度額を計算するときは、住民税のうちの「所得割」の方が基準になります。
住民税の所得割額は
【(前年度の所得額 – 所得控除額) × 0.1 – 税額控除額】
で計算できます。
ふるさと納税の限度額は税務署に問い合わせても教えてもらえるので、不安な場合は税務署に相談するのがおすすめです。
2.ふるさと納税をするときの注意点
ここまで解説してきたように、ふるさと納税には限度額が定められています。
所得によって控除される金額が異なり、限度額を超えた寄付については控除対象になりません。
またふるさと納税は全額控除されるわけではなく、2,000円は自己負担金になるということも忘れてはいけないポイントです。
そのほか、不動産投資をされている方が特に注意した方がいい点をお伝えします。
2-1.返礼品は一時所得
一つ目は、ふるさと納税で寄付をしたあとに、その地方公共団体から謝礼としてお肉やカニ、器などの特産品を受け取った場合、「一時所得」に該当されることです。そして一時所得は課税対象です。
国税庁では下記のように解説されています。
“寄附者が特産品を受けた場合の経済的利益は、一時所得に該当します。なお、その年中に他に一時所得に該当するものがないときには、課税関係は生じません。
所得税法上、各種所得の金額の計算上収入すべき金額には、金銭以外の物又は権利その他経済的利益の価額も含まれます(所得税法第36条第1項)。
ふるさと寄附金の謝礼として受ける特産品に係る経済的利益については、所得税法第9条《非課税所得》に規定する非課税所得のいずれにも該当せず、また、地方公共団体は法人とされていますので(地方自治法第2条第1項)、法人からの贈与により取得するものと考えられます。
したがって、特産品に係る経済的利益は一時所得に該当します(所得税法第34条、所得税基本通達34-1(5))。”
(「ふるさと寄付金」を支出した者が地方公共団体から謝礼を受けた場合の課税関係
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/02/37.htm
(平成30年1月13日時点))
難しく書かれていますが、「地方公共団体は法人であり、返礼品は法人からの贈与なるため一時所得に該当し、課税対象になる。」ということです。
このことから、
「ふるさと納税は寄付するだけでなく返礼品ももらえるところが多いから普通に納税するよりもお得」
と思っていたのに、その返礼品が一時所得とみなされて課税対象になるのでは結局意味がないのでは?」と思われるかもしれません。
ですが安心してください。
一時所得には特別控除額として最高50万円が設定されています。
一時所得の「金額」の計算は、
【一時所得の総収入金額 – 一時所得を得るために支出した合計金額 – 50万円(※)】
※収入から支出を差し引いた残額が50万円未満場合はその残額
です。
返礼品はふるさと納税で寄付したことで得られたものなので、この「一時所得を得るために支出した合計金額」の項目にしたいと思いますが、含めることができません。寄付は寄付として処理して、収入を得るための支出にはできないとされています。
また一時所得はふるさと納税での返礼品以外にも、懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金、生命保険の一時金や損害保険の満額返戻金等が該当します。これらをすべて合計して計算することになります。
給与所得が1500万円でもふるさと納税の自己負担金が2,000円になる限度額は384,000円とされているので、その返礼品が50万円を超えることはありません。そのためたまたま同じ年に宝くじで大当たりした、保険の返戻金があったりしたという状況の時以外は、気にしなくて大丈夫でしょう。
2-2.副業の場合は、会社にばれる可能性も
副業をしていると、ふるさと納税もワンストップ特例制度は利用できず、確定申告をすることになります。このときに注意が必要です。
ふるさと納税をして確定申告すれば、所得税の還付と住民税の減額の両方を受けられます。ここで特に気をつけたいことが、住民税の減額についてです。
副業が本業並、本業以上にうまくいっている場合は、ふるさと納税の上限額も本業だけではあり得ない金額になります。そして上限額いっぱいまでふるさと納税をしてしまうと、住民税の控除額が多すぎて、人事や経理に怪しまれてしまいます。
ふるさと納税の控除は、本業か副業のどちらか一方から全額控除されます。本業と副業の所得の割合に応じて、控除の割合も設定できません。
さらに確定申告をしても、市役所に連絡しなければ基本的には本業から控除されてしまいます。つまり副業をしていてふるさと納税をしたときは、確定申告だけではなく、住民税の控除を副業からしてもらうように連絡しなければいけないということです。
もちろんですが、副業から控除してもらうには、ふるさと納税の控除額よりも普通徴収で支払う住民税が高くなければいけません。
働き方改革もあって副業に寛容な時代になっていますが、できれば会社にばれたくないというのが本音だと思います。ふるさと納税をすると住民税を普通徴収にするだけでなく、副業分から控除されるように市役所に連絡することを忘れないようにしましょう。
3.不動産売却に伴う譲渡所得がある場合のふるさと納税限度額はどうなる?
不動産売却によって譲渡所得があると、自己負担金2,000円で控除される上限額も高くなる可能性が高いです。
賃貸経営によって家賃収入を得ている場合は、不動産所得に分類されます。この所得については他の給与所得や事業所得とあわせて「所得」として、税額計算されます。
しかし譲渡所得の場合は税額計算が異なります。譲渡所得に関する税額計算は他の所得と分離して計算すると定められています。これを「申告分離課税」といいます。
この記事の最初の方で紹介した寄付上限額を計算するツールは、総合課税の対象となる所得がある場合のみ利用できるものです。所得に対して適応される税率が2つ以上ある場合は、それぞれの所得税と住民税を個別に計算し、上限額を算出しなければなりません。
そのため、譲渡所得があればふるさと納税の限度額が上がる可能性は高いですが、正確な金額については市役所などで直接問い合わせて計算した方がいいです。
4.まとめ
不動産投資をしていて、給与所得以外に収入がある場合のふるさと納税についてお伝えしました。計算が少し複雑なところもあります。
そして返礼品は一時所得になったり、税額控除を本業ではなく副業の方からしてもらう連絡を市役所に入れたりという注意点もありますが、それ以上に各地方から届く特産品は魅力的です。
結局税金として支払わなければいけないお金ですから、多少手間でもふるさと納税に挑戦してみましょう。
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