1.売る場合は?
土地を売却すれば、まとまったお金が入り、売却後、固定資産税を支払う必要もありません。
しかし、売却時には諸費用がかかるので考慮しなくてはなりません。かかる費用は仲介手数料(売買金額が400万円以上なら(売買金額の3%+6万円)+消費税が手数料の上限)や登記費用、抵当権抹消費用など。
加えて、売却して得られた利益に対しは譲渡所得税がかかる場合もあります。
譲渡所得税は、所有期間が5年超の長期譲渡所得で20.315%、所有期間が5年以下の短期譲渡所得で39.63%と高い税率となっているため、事前にしっかり計算した上で売却計画を進めることが大切です。
土地の売買の際は、税法上の減免制度が多くあるので、自分のケースはどんな税金がかかるかを税理士、ファイナンシャルプランナー、不動産会社の担当者などの専門家に予め相談するとよいでしょう。
2.貸す場合は?
住宅街の近くにあれば、家庭菜園や畑、資材置き場を目的とした借地として賃貸に出すのもよいでしょう。
もちろん、立地が良ければ、土地を貸して、借主がその上に建物を建てることも考えられます。
借地として貸し出す場合の注意点は以下の通りです。
1.知人でも不動産会社に仲介してもらい契約する
契約書なしで土地を貸すとトラブルに発展する可能性がありますので、止めておくべきです。
たとえ親しい人や身内でも、口約束は曖昧になりがちです。お互いのためにもやめておきましょう。
不動産業者を通さず土地を貸すのもおすすめしません。
土地に関する法規制は非常に多く、それらが複雑に絡み合っているため、素人にはなかなか理解できないからです。
例えば土地を借りた借主が、その場所に住宅を建築すると、借地期間は30年以上と定められています。
2.借地権の種類を知っておく
所持している土地を貸すと、「借地権」が発生することになります。
土地を貸す時の契約方法である借地権の種類については以下の通りです。
①普通借地権
普通借地権では、借地人の希望で契約を更新することができます。
貸主側が契約を終了する際は、正当な理由でなければ一方的に契約できないシステムになっています。
②一時使用目的
一時的な使用のために、土地の借地権が発生することを一時使用目的と言います。
一時使用の場合も契約を行う必要があります。
③事業用定期借地権
居住をしない、事務所や店舗の用途で土地を貸す時に結ぶ借地権のことで、定期借地権の1種です。
契約書は公正証書で締結する必要があります。
④一般定期借地権
一般定期借地権とは、契約存続期間は50年以上で定めなくてはならない、契約更新がない契約です。
建物の用途を限定する必要はなく、契約が終了したら、土地を借りた借地人は、土地を更地にして貸主に返すことが条件です。
⑤建物譲渡特約付借地権
契約満了時に借地人の建物を地主が買い取るという契約です。
地主が買い取ることで底地人と借地人が同一になり、借地権が消滅します。
この借地権は、契約存続期間を30年以上にしなくてはなりません。
30年以上なら40年でも50年でも可能です。契約の更新はありません。
3.自己活用する
空き地に貸マンションや賃貸アパートを建てて賃貸収入を得る、太陽光発電システムを設置して、売電収入を得るなど、自分で使って収益を得る方法もあります。
ここでは、その一例を紹介します。
1.アパートやマンションを建てて賃貸に出す
賃貸住宅を建設し募集をかければ、家賃収入を得ることができます。
家賃から固定資産税、共用部分の電気代、メンテナンス代などの経費と税金を引いたものが、収益になります。
不動産所得は減価償却費や青色申告特別控除など、実際に支払わない項目を経費として計上できるのがメリットです。
マイナスとなった場合には給与所得などと損益通算が可能です。
賃貸アパートや賃貸マンションを建てる土地活用は、立地が非常に重要です。
市場調査をしっかりと行って投資するようにしましょう。
2.リスクの少ない駐車場経営
駐車場経営は、住宅を建設するのに比べ、イニシャルコストが安価ですし、管理も手がかかりません。
しかし、マンション投資ほど大きな収益は見込めずローリターンでもある土地活用法です。
駐車場経営には、月極駐車場による方法と、コインパーキング形式による方法があります。
収益は不動産所得になります。
3.トランクルーム
トランクルーム経営は、利幅とリスクが少ない専門業者に土地を一括借上げしてもらう方法と、利幅とリスクがともに大きくなる自分でトランクルームを購入して設置し管理を業者に依頼する方法があります。
駐車場やマンションの経営に比べて比較的場所を選ばず始めることができます。
オフィス、商業施設や住宅街、港の近くであれば、より収益が見込めます。
4.太陽光発電
土地に太陽光発電システムを設置して、売電収入を得る方法です。
経年劣化による発電効率の低下や、破損リスクがあるものの、事業用であれば20年間売電価格が固定されるため、20年先の収入まで見込みが立てられます。
できるだけ周りに高い建物の建つ心配のない郊外の大きな土地で投資するのが最適です。
5.コインランドリー
コインランドリー投資は、駐車場が数台確保できるくらいの、それほど大きくない都市でも行えます。現地に管理者が常駐している必要がなく、手間もかかりません、設備の導入費は駐車場経営やトランクルーム経営にくらべ高額になります。
周辺環境と価格相場のリサーチが必要となり、経営的なセンスが問われるのもコインランドリー投資の特徴です。
4.共同活用
共同活用による土地活用には、土地信託と等価交換があります。
1.土地信託
土地信託は信託会社などの土地活用のプロに運用を任せる方法です。
土地の運用を信託会社が行い、それにより得た利益の中から配当を土地の所有者が受け取ります。
土地信託の流れは、信託会社に依頼した場合を例にとると、
・信託契約を結ぶ
・一時的に所有権は信託会社に移転
・信託会社が運用を行う
・配当を依頼者が得る(利益が出なければ配当はなし)
・契約が終了すると所有者に土地が返還される
といった具合です。
自己資金なしで始められ、連帯保証契約も必要ないので手軽に土地活用が始められます。
2.等価交換
100坪以上で交通や環境面で優れている場所に土地があるなら、等価交換を検討してもよいでしょう。
等価交換とは第三者に土地を提供し、その土地の上に建物を建ててもらい、完成した建物の所有権を提供した土地に見合った分をもらう方法のことです。
自分で出資する必要がない、「立体買い換えの特例」という譲渡税の優遇措置譲が受けられるなど、自己資金で建てるよりもリスクが少なくなります。
いっぽうで、「立体買い換えの特例」が関係し、減価償却費が小さくなる、利回りが低くなるなどのデメリットもあります。
等価交換は時間と労力を要しますので、デベロッパー選びが成否を決定づけます。
長時間かかる事業のため優秀な企業を選べばないと倒産する可能性があります。
5.まとめ
土地を活用しなくても固定資産税はかかります。
不動産が「負動産」にならないよう、土地活用は行うべきです。
「売る」「貸す」「自己活用」「共同活用」の4タイプの活用法がありますが、土地の特性によって、どの方法にするかが自然に決まってきます。
自分の持っている土地のリサーチを行い、優遇税制名も調べて、あなたにぴったりの土地活用を見つけましょう。