不動産を譲り受けるときには、相続か贈与という形になります。しかし2つの方法で税金が大きく異なります。一般的には相続の方が得になると考えられていますが、場合によっては贈与で節税対策が可能です。
では、不動産の贈与はどのような税金が必要となるのか詳しくご紹介します。
贈与したときの税金
不動産の贈与に必要な「贈与税」がどのようなものかを見ていきましょう。また贈与税と共に必要になる税金もご紹介します。
贈与税
贈与は不動産を誰かに「あげる」贈与者が、「もらう」受贈者へ譲渡することが合意したことで成立するものです。また贈与税は、贈与が成立したときに課税されるものです。
不動産購入資金の贈与の他に、土地や建物などの不動産、さらに自動車などの資産を譲り受けたときにも課税されます。
贈与税は個人に課税されるので、家族はもちろんですが、配偶者であっても課税されるものです。土地や建物をもらったときだけでなく、借金を返済してもらったり、時価よりも安く不動産を売ってもらったときも贈与と見なされることがあります。
不動産取得税
不動産取得税は、土地や家屋を売買、贈与、建築したときに課税される税金のことです。相続による取得の場合には、取得税はかかりません。
不動産取得税の計算方法は、固定資産税評価額が基準となります。課税標準に4%の税率で乗じて算出します。
取得した家屋が一定の要件を満たしているなら、不動産取得税の軽減制度を受けることができる可能性はあるので確認しましょう。
登録免許税
不動産を贈与すると、法律上の手続きとして「所有権移転登記」の申請を行い、贈与された側に所有権が移動します。
不動産登記は司法書士に依頼して申請しますが、登記手続きにも課税されるので、不動産登録免税を支払います。登記内容によっても異なりますが、売買や贈与の場合の所有権移転登記の場合には2%、相続による所有権移転登記は0.4%です。
贈与税の計算方法
贈与税の計算方法は、2つの課税方式があります。
- 暦年課税制度
- 相続時精算課税制度
暦年課税制度とは、少額の財産贈与の場合には非課税になる制度です。毎年110万円までの贈与なら非課税となります。また1人の受贈者が1月1日から12月31日までに譲り受けた贈与額の合計から、110万円が基礎控除額となって差し引かれる計算方式です。
相続時精算課税制度とは、60歳以上の直系尊属から20歳以上の子どもや孫に行った贈与財産のうちで2,500万円分までは非課税になるものです。これは相続発生時に発生する控除分が前倒しにする形です。
相続が発生したときに控除した「贈与財産」と「相続財産」を合算してから相続税が課税されます。
贈与税の軽減措置
贈与税には税を軽くする特例が設けられているので、場合によっては税金を抑えられます。
基礎控除
110万円の基礎控除があるので、土地や建物でも適用され、1年間の贈与額が110万円以内であれば贈与税が課税されません。
住宅取得等資金贈与の特例
個人に課税されるので、親や祖父母から贈与されたときも課税されますが、住宅取得資金が贈与される場合には「住宅取得等資金贈与の特例」が適用されます。
受贈者ごとに非課税限度額が設定されており、新築等する家屋の種類によって、さらに受贈者が特例を適用する家屋の新築等の契約締結日によって金額が変わります。
2020年4月から2021年3月31日までの契約なら1,000万円まで非課税枠となりますが、省エネ性の一定基準を満たす場合には1,500万円です。
夫婦間の居住用不動産の配偶者控除
結婚して20年以上の夫婦間で居住用不動産を取得するための資金の贈与に関しては、2,000万円まで贈与税が非課税となります。
この特例は同じ配偶者からは一生で一度のみ適用されます。
相続時精算課税の特例
居住用住宅を取得するための資金なら、贈与者が60歳未満でも相続時精算課税が選択できます。
相続時精算課税の特例を受けるための人の要件と住宅の要件を満たしていることや、2021年12月31日までに父母や祖父母から贈与を受けるケースが対象となります。
まとめ
不動産の贈与に際しても、数々の税金が必要となります。贈与税だけを計算しても、複数の控除や特例が適用されるケースがあるので、自身の場合にはどれを適用するべきなのかよく確認することをおすすめします。