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不動産贈与が非課税になる範囲は?平成27年の税改正の影響も解説

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不動産贈与は課税方式によって非課税枠が異なります。また贈与が親子・孫間かどうかということも贈与税額に関係します。

平成27年の税改正では贈与税緩和と言われていますが、高額となる不動産贈与の場合はその限りではありません。今後不動産を贈与・相続する可能性がある方はぜひこの記事をご覧ください。

1.不動産贈与における2つの課税方式


贈与税に2つの計算方式があります。どちらの課税方式にするか選ぶことができるようになっています。暦年課税と相続時精算課税がありますが、どちらを選ぶかによって税率も変わってきます。また相続時精算課税を選んだ場合、それ以降、同じ人からの贈与は相続時精算課税となるので注意が必要です。

それぞれの課税方式について詳しくお伝えしていきます。

1-1.暦年課税

暦年課税は1年間に贈与を受けた財産の価額を全て合計して、贈与税の課税対象価額として計算する方式です。この課税方式を選ぶと、1人から100万円贈与された場合でも、10人から10万円ずつ贈与された場合でも、同じ100万円が贈与されたとみなされます。

また暦年課税では毎年110万円までの基礎控除額が設定されています。そのため贈与額が110万円以下の場合は、贈与税の申告をする必要もなく、贈与税はかかりません。

さらに暦年課税では贈与した人との関係性によって税率は異なるようになっています。父母や祖父母から20歳以上の子どもに贈与した場合は特例贈与財産の方の税率がかかります。それ以外は一般贈与財産における税率です。

同じ贈与額ならば特例贈与財産で計算された贈与税の方が小さくなります。

一般贈与財産または特例贈与財産となるものだけの贈与を受けた場合、贈与税の計算は簡単です。贈与財産の価額から基礎控除の110万円を引いて、その価額における税率をかけて、控除額を引けば算出されます。

一方で、一般贈与財産と特例贈与財産のどちらも同じ年に贈与された場合は少し計算が難しくなります。

たとえば、一般贈与財産が100万円、特例贈与財産が400万円の合計500万円の贈与を受けたとします。

このときの計算方法は下記のとおりです。

まず一般贈与財産分の贈与税の金額を計算します。
500万円-110万円 × 20% - 25万円 = 53万円
53万円 × 100万円/500万円(全体に対して一般贈与財産が占める割合) = 10.6万円

同様に、特例贈与財産分の贈与税の金額を計算します。
500万円-110万円 × 15% - 10万円 = 48.5万円
48.5万円 × 400万円/500万円(全体に対して特例贈与財産が占める割合) = 38.8万円

合わせて、 10.6万円 + 38.8万円 = 49.4万円

この49万4,000円が最終的に納める贈与税の金額になります。

個別に計算して、基礎控除によって一般贈与財産分は0、特例贈与財産分だけ計算すればよいということにはならないので注意が必要です。

暦年課税であれば、財産を贈与した人が亡くなったときの相続税の計算では、原則として相続財産の価額に贈与財産の価額を加える必要はありません。そのため、贈与税を支払えば、その財産に対してはすでに所有権が移っており、相続税の対象外となります。

ですが、「相続または遺贈によって財産を取得した者が相続開始3年以内に贈与を受けた財産の価額(贈与時の価格)は加算しなければなりません。」と国税庁のホームページに記載されています。亡くなる直前に贈与されたものは相続税の対象にもなるので、生前贈与を行うなら計画的に行いましょう。(https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4103_sankou.htm)

1-2.相続時精算課税

相続時精算課税の制度は、原則として60歳以上の父母または祖父母が、20歳以上の子どもまたは孫に対して財産贈与を行った場合に「選択できる」ものです。

この制度を選択するためには贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間に定められた書類を添付して、贈与税の申告書を提出する必要があります。提出しなければ、暦年課税として計算されるので、相続時精算課税を利用しようと考えている人は忘れないように気をつけてください。

相続時精算課税を選ぶと、選んだ年以降、その贈与者から贈与された財産はすべて相続時精算課税として計算されます。暦年課税に変更することはできなくなるので、今後の贈与・相続財産のことなど慎重に考えて決めてください。

相続時精算課税を選択した場合、財産贈与の価額から控除される金額は特別控除額の2,500万円です。2,500万円を超えた部分に対しては一律で20%の税率がかかります。

そして暦年課税との違いは名前の通り、相続時に精算するようになっていることです。

国税庁のホームページには「贈与者が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額に相続時精算課税を適用した贈与財産の価額(贈与時の価額)を加算して相続税額を計算します。その際、既に支払った贈与税相当額を相続税額から控除します。なお、控除しきれない金額は還付を受けることができます。」とあります。
(https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4103_sankou.htm)

平成29年9月28日現在の相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となっています。そのため、たとえば相続財産が500万円、評価額2,000万円の不動産を贈与したときに相続時精算課税を選んでいたとすれば、贈与税も相続税もかからないというわけです。

もし評価額2,000万円の不動産を贈与したときに暦年課税にしていた場合、
(2,000万円-110万円) × 45% - 265万円 = 585.5万円
585万5,000円の贈与税がかかる計算になるので、大きな節税効果を見込めます。

2.不動産の生前贈与で使える非課税枠


不動産に関わらず、贈与のときに使える非課税枠は暦年課税の場合は110万円、相続時精算課税の場合は2,500万円です。

ただ贈与税にはいくつかの特例が設けられていて、不動産に関わるものは夫婦の間での贈与だけです。

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産の贈与が行われた場合は、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できるという特例があります。これを配偶者控除といいます。

この配偶者控除が認められるのは「居住用不動産」のみで、収益不動産はこの特例の対象にはなりません。また配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。

また不動産の生前贈与ではないですが、住宅取得資金の贈与税の非課税という特例もあります。

これは父母や祖父母から居住用の不動産の取得、新築、改築などのために使う資金を贈与された場合、平成29年9月28日時点で省エネ住宅ならば1,200万円、それ以外の住宅なら700万円の控除が認められています。

また控除額は住宅用家屋の新築等にかかる契約の締結日によって控除額は異なっており、平成33年が近づくにつれて小さくなっていきます。

具体的な非課税限度額は下表のとおりです。

契約締結日/家屋の種類 省エネ住宅 省エネ住宅以外
平成27年12月31日まで 1,500万円 1,000万円
平成28年1月1日から
平成32年3月31日まで
1,200万円 700万円
平成32年4月1日から
平成33年3月31日まで
1,000万円 500万円
平成33年4月1日から
平成33年12月31日まで
800万円 300万円

「住宅取得資金の贈与税の非課税」のあらまし https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sozoku/pdf/jutaku27-310630.pdf

もし住宅取得資金の贈与税の非課税を利用しようと思われているのなら、早目に対応することがおすすめです。

3.平成27年以降に変更された贈与税、不動産贈与への影響


平成25年3月29日に成立した「所得税法等の一部を改正する法律等」が平成27年1月1日から施行されました。贈与税に影響があることだけ紹介します。

3-1.平成27年1月1日に贈与税改正

今回の税改正によって、父母や祖父母から贈与を受ける場合の贈与税が緩和される特例が新設されました。これが今までお伝えしてきた「特例贈与財産」にあたるものです。

今まで贈与税は相続税に比べて高い税率で、高齢者の保有資産がなかなか現役世代に移転しないという課題がありました。その移転を促進することが贈与税緩和の目的になります。

3-2.贈与税改正の不動産贈与への影響

全体的に見れば贈与税の緩和ともいえますが、高額な贈与となりがちな不動産贈与においてはその限りではありません。

一般贈与財産では3,000万円を超す贈与については税率55%、控除額400万円となりました。特例贈与財産でも4,500万円を超す贈与については税率55%、控除額640万円です。

仮に1億110万円の不動産が贈与されたとします。改正前なら4,775万円だったものが、改正後は一般贈与財産で5,100万円、特例贈与財産でも4,860万円となり、高額な贈与の場合は実質的な増税ということになります。

一方で相続時精算課税制度では、改正後は贈与者の年齢が65歳以上から60歳以上に引き下げられ、受贈者に20歳以上の孫も追加されたため、こちらの贈与税方式では緩和したとも言えます。

ただし相続税の基礎控除が引き下げられて課税対象額が増加するため、暦年課税と相続時精算課税のどちらを選ぶかはより慎重にした方がいいです。また今後も税改正によって相続税の基礎控除が引き下げられる可能性も高いので、相続時精算課税を選ぶ場合はそのリスクも考える必要があります。

4.まとめ


不動産贈与における贈与税の計算方法、税改正による影響についてお伝えしました。不動産の生前贈与は大きな金額となり、そこにかかる贈与税も大きいです。今回の税改正で親子間での贈与税は緩和されたとはいえ、非課税枠の利用や相続時精算課税の選択も考えておきましょう。

不動産の生前贈与は様々な制度を活用することで贈与税だけでなく相続税も抑えられます。余計な税金を払わないためにもご自身で勉強したうえで、専門家に相談することがおすすめです。

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賃貸”住まい”の新しいカタチを提供するEdge編集部が記事を書きました。

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