感染症の影響が世界中に影響を与えた2020年にも中国の不動産市場は活発に動きがありました。経済の落ち込みがあったものの、経済活動自体は回復傾向にあり住宅価格も上昇しているのが特徴です。
2020年に中国の不動産市場ではどのような動きがあったのか詳しくご紹介します。
2020年の中国の不動産市場
2020年に中国の不動産市場がどのような変化をしたのか見ていきましょう。不動産を手放す人がいる一方で住宅価格が上昇しているエリアもあります。
住宅価格は上昇
一部の都市では、不動産バブルが再熱する兆しがみられています。感染症の影響で家にこもった期間があるので、住宅価格が横ばいとなった時期もありますが、その後市況が回復しています。
たとえば、上海や北京、広州などの大都市では不動産価格が上昇しているのが特徴。売主が住宅を手放さないなどの要因もあり、住宅価格がさらに高くなっています。
上海は他の都市よりも仕事の環境が整っており、外国投資が集まる都市ということもあり、高い人気を集めているのです。
不動産投資は伸びが鈍化
上海など大都市で不動産価格が上昇した一方で、多くの都市で住宅価格の上昇率は鈍化しました。コロナ禍から急激に回復したあとに、市場の過熱を抑えるために当局は抑制を図ってきました。
大都市での不動産規制や、中小都市での需要鈍化が影響を与えた結果です。2020年11月の主要70都市の新築住宅価格が前月比0.1%の上昇だったことは伸びが鈍化した証拠です。
バブル崩壊を防いできた
コロナ禍による経済の打撃を和らげるために金融緩和政策が行われましたが、不動産市場では投機的動きがあったことから不動産価格が上昇。中国政府が不動産バブルを警戒したことから、各都市で規制政策が導入されます。
緩和された時期もあったものの、不動産規制を強化していくことで不動産バブル崩壊を防いでいるのです。
コロナによる影響で不動産バブルは続かないとみていた多くの人の予測を裏切り、ロックダウン後の回復を見せてきた中国の不動産市場。政府は各種の規制を行うことで過度の過熱を防いできました。
中国の不動産市場の特徴
中国の不動産市場の特徴を見ていきましょう。
バブル再熱
不動産バブルが再熱したことは、大きな特徴でしょう。大都市での不動産バブルは都市と農村の格差が激しいことが原因となっています。農村部よりも地方都市の方がインフラが充実しており、さらに大都市になるとはるかに高いインフラが整備されます。
地方都市の若者にとってインフラが整った大都市での生活は憧れです。住宅の賃貸が習慣としてなかった中国では、賃借人の立場も弱くオーナーが売りたいときや改装したいときに出ていく必要があります。不安定な生活を連想させる賃貸物件は、人気ではありません。
また家を資産と考えている人が多いことから、投資目的に購入する人も多いのです。
住宅格差が深刻化している
バブルが再熱した都市もありますが、地方都市ではローンを支払えずに住宅を手放す人がいるのも現状です。都市によってはバブルが崩壊しており、衰退の傾向にあるエリアもあるからです。
一部の都市には人材や富の一極集中が進みますが、地方都市では人口の減少や空き家の問題といった別の問題が発生しています。
富が都市に集中しているので、貧富の格差だけでなくインフラの整備など課題は広がる一方です。政府は富の格差を埋めることを目標としていますが、どれほど効果を発揮するのか今後の動向にも注目です。
まとめ
感染症の影響によって、ロックダウンされたときには横ばいになっていた不動産市場ですが、その後急激に回復を見せています。不動産バブルの崩壊を懸念して、様々な規制が行われてきましたが、それでも不動産価格の上昇は止まっていません。
富が一極集中しているので、地方都市との格差が広がっているのも中国の不動産市場の特徴です。衰退している都市では空き家問題などがありますが、上海などの不動産価格が上昇している都市では、規制があっても住宅価格が高くなっているので、今後の動向に注目です。