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相続した不動産は原則、財産分与の対象外です【ただし例外もあります】

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相続で取得した不動産は一般的には財産分与の対象外となりますが、財産分与の対象となるときもあります。

では、どういった場合に財産分与の対象になるのか、判断基準は何かについてこの記事では紹介しています。離婚協議中、相続した不動産の財産分与での対応に迷われたときはぜひご覧ください。

1.相続により取得した不動産は財産分与の対象にならない


「結婚して25年になります。4年前に私の父が亡くなったときに遺産を1,000万円ほど相続しました。もちろんそのことは夫も知っています。そしてこれから夫と協議離婚をしたいと考えていますが、このとき相続したお金も財産分与しなければならないのでしょうか。」

長い結婚生活を送っていたとしても、何かのすれ違いなどで離婚に至ることもあります。そして年齢を重ねたタイミングで離婚するとなると、人によっては遺産を相続している方もいらっしゃいます。

そこで得たお金は財産分与の対象になるのでしょうか。多くの方が悩まれるところです。

ですが法的には、原則として相続した遺産は財産分与の対象となりません。そしてこれは現金だけでなく不動産の場合も同じです。

2.遺産が財産分与の対象にならない理由


夫婦の財産関係は特別に「夫婦財産契約」を締結していなければ法定財産制に従うことになっています。

夫婦財産契約というのは婚姻前から所有しているお互いの財産について所有権はどうするのかということを定め、婚姻後の共同生活における費用負担はどのように分担するのかということも定めることができます。

たとえば、婚姻前から所有している夫と妻の財産は夫婦共有のものとし、婚姻後の共同生活にかかる費用はすべて夫負担にする、という取り決めができます。

ただし夫婦財産契約は婚姻届提出前に締結しなければならず、もし婚姻届提出後であれば夫婦財産契約は無効となります。

さらに夫婦財産契約を締結した後は婚姻届提出前に「登記」もしなければ第三者に対して内容を主張できなくなります。(夫婦間では契約が有効です。)

このような厳しい条件でのみ夫婦財産契約は認められています。ただ、夫婦財産契約はその申請があまりに厳しいため、日本ではほとんど締結されていません。また夫婦財産契約の中に内容を変更する方法を定めていなければ、婚姻届を出した後、どのような理由であっても内容の変更ができなくなるので注意が必要です。

そのため一般的には夫婦の財産関係は「法定財産制」に従います。

この制度は、婚姻前から所有している財産と婚姻中に自分の力だけで取得した財産は特有財産となり、婚姻前であったとしてもどちらかに属するかはっきりとわからない財産や婚姻中に取得した財産は共有財産と推定されるものです。

そして離婚時に財産分与の対象となる財産は共有財産のみです。そもそもの財産分与の性質は、夫婦共有の財産を婚姻関係の解消にともなって公平に分配するという性質を持っているからです。

この制度に従うことによって、相続により取得した財産はパートナーとの協力とは無関係に取得できた財産ですので、特有財産とみなされます。そのため相続で得た財産は財産分与の対象とはなりません。

これは現金でも不動産でも同じです。ただし、相続した財産の中でも財産分与の対象となる例外があります。

3.相続財産が財産分与の対象となる例外


相続した財産でも、その財産を維持するために夫婦の協力がなければできなかったとみなされるものは財産分与の対象となります。

過去には、相続した不動産が旅館だったという例があります。このとき相続したのは旦那側ですが、妻が女将として旅館を切り盛りしていました。このような場合、旅館の維持と繁栄には妻の協力が不可欠だったとみなされ、その貢献度に対して財産が分与されることとなりました。

ただこれは本当に特殊な例です。

妻が相続した土地に、夫が建物を建てて事業を営み生活費を稼いだと主張した例がありました。事業の運営によって土地の維持が行われたため、土地も財産分与の対象として含めるべきだというものです。

しかし裁判所はこの主張を「財産分与の対象となる“特段の事情”ではない」として退けています。事業運営によって生活費を得ていたとしても特段の事情とはならないということで、相続財産が財産分与の対象になるにはかなり難しいと言えます。

一方で清算的財産分与ではなく扶養的財産分与という意味合いで相続した不動産を財産分与の対象とする場合もあるので、夫婦間での個別の事情に合わせて考えていくことになります。

4.相続した不動産の財産分与に関するトラブル事例


相続した不動産と離婚による財産分与では様々なトラブルが生まれています。お互いにできるだけ多くの財産を分与されたいと考えるからです。

ここでは実際に財産分与についてトラブルになったものを紹介します。

4-1.パートナーが相続した土地で事業を経営している場合の財産分与

結婚後、妻が親から土地を相続したという例です。その土地では夫を含め親類で事業を経営しており、妻は会社から毎月地代をもらっていました。

このような状態で離婚した場合、土地も財産分与の対象になるのではないかというものです。

結論から言えば、財産分与の対象にはならないというものでした。

夫は妻の土地にある会社で役員を務めることで会社の売上が伸びて利益が増えたことが、「夫婦の強力によって相続した不動産の価値が維持された」を満たすと考えていましたが、会社の売上増加と土地の価値の維持に因果関係は認められませんでした。

4-2.相続した家のリフォーム代金を支払った場合の財産分与

旦那が相続により取得した家をリフォームする代金を払ったとき、財産分与の対象になるのかという例です。

このような場合は、夫婦で出したとみなされ相続した家は特有財産ではありますが、リフォームの貢献分に応じて分与される可能性が高いです。

そのリフォームによって相続した家の維持にどれだけ寄与したかは、夫婦お互いに納得のできる割合で話し合って合意するか、難しければ弁護士に相談します。

5.まとめ


相続した不動産は夫婦財産契約を結んでいない限り特有財産となり、財産分与の対象にはなりません。ただし例外としてその不動産の価値の維持に貢献したとみなされる特段の事情がある場合は、その貢献分に応じた分が財産分与の対象となります。

夫婦間で合意を得られていないけれども、財産分与の対象になるのではないかと思われる場合は弁護士に相談して判断を仰ぐようにします。ただし、特有財産が財産分与の対象となるには非常に稀なケースなので、基本的には財産分与の対象にならないとして手続きを進めていく方が労力も時間もかからないでしょう。

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賃貸”住まい”の新しいカタチを提供するEdge編集部が記事を書きました。

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