不動産鑑定士は、不動産業界だけでなく、金融業界でも必要とされている資格です。
不動産鑑定士はどのような仕事を行うのでしょうか?また、資格を取得するまでにどのような試験を受ける必要があるのか、ご紹介します。
不動産鑑定士とは?
不動産鑑定士とは、不動産の鑑定評価という不動産価値を見定める業務を専門に行う人のことです。
鑑定評価には、国家資格が必要となり、土地や建物の価値を鑑定して価額を決めます。
不動産鑑定士の役割
不動産鑑定士の役割を簡単に言うとすると、「不動産の鑑定評価をして、適正価格を決定すること」です。不動産の利用価値や経済価値はいくらになるのかを決定することが仕事です。
不動産を鑑定評価するのは、不動産鑑定士しか行えない独占業務です。不動産の高度な専門家として、不動産資格の中では最高難易度の資格です。合格率は2%から3%で推移しており、合格すれば平均年収が600万円からと高めになっていて独立も見込めます。
不動産鑑定士の仕事内容
不動産鑑定士は、不動産鑑定業者登録を国土交通省や都道府県で行います。不動産事務所には、1名以上の不動産鑑定士を置かなければいけません。公的機関からの依頼であれば、以下の仕事内容があります。
- 相続課税の評価
- 固定資産税課税のための評価
- 競売のための評価
国や県が公表する公的な土地の価格のもとになったり、銀行が融資する際の担保評価をしたりと重要な業務を行います。
民間企業からの依頼であれば、次のような仕事があります。
- 売買の評価
- 家賃の改定のための評価
- 再開発事業のための評価
個人だけでなく、企業からも依頼されて土地の鑑定を行うこともあるのです。
土地であれば、立地や地形、また法令上の制限などで価値が変わります。さらに建物の場合には、面積や用途、また構造や築年数などの要素が価値に影響を与えていきます。そのため、一般の人が複数の要素を考慮して、価値を算出するのは困難なのです。
不動産に対する高度な知識と、調査を行うことで、適切な価値を導き出すのが不動産鑑定士の仕事です。
不動産鑑定士の仕事先
不動産鑑定士の仕事先は、大きく分けると不動産業界だけでなく、金融会社などに分けられます。もちろん、特殊な仕事になりますので、独立開業することもできるでしょう。
どのように仕事先があるのか、さらに詳しくて見ていきましょう。
金融系会社
不動産の価値を正しく評価することが求められるのは、銀行や信託銀行なども含まれます。
担保を元に融資をする際には、不動産にどれほどの価値があるのか知っておく必要があります。そのため、銀行の不動産評価部が正しく不動産を評価するのです。
不動産業界
不動産業界では、不動産会社で個人や国など民間・公的を問わずして不動産の評価を行います。
不動産会社では、売買や賃貸、またM&Aなどの際に不動産評価が必要となります。公的な評価などは、安定した仕事が見込めるので、不動産業界に就職することも多くの人が希望するのです。
コンサルティング業
別の選択してとして、コンサルティングもあります。
不動産鑑定評価で不動産に関する知識と経験を得るので、不動産の有効活用に関するコンサルティングを行うこともできます。不動産会社で業務を経験した後に、独立開業することもあるでしょう。
もしくはコンサルティングを主な業務にしている会社に就職することも考えられます。
不動産鑑定士の試験・資格
不動産鑑定士の資格を得るために、どのような試験があるのか見ていきましょう。
短答式試験
短答式試験には、受験資格はありません。毎年5月中旬に試験が行われます。
合格基準はおよそ7割です。
論文式試験
短答式試験に合格した人のみ、論文式試験を受けられます。
毎年7月下旬から8月上旬に、3日間にわたって行われます。
合格基準はおよそ6割です。
実務修習
実務修習は、1年もしくは2年コースから選択します。
基本演習や実地演習を経て、終了考査に合格すると不動産鑑定士となれるのです。
まとめ
公的な仕事があったり、銀行での担保評価など安定した仕事が見込める不動産鑑定士は安定した需要がある資格です。
難関の資格ですので、十分に勉強したり、試験対策を行ったりすることが合格のポイントとなるでしょう。