1.絶対確認するべきポイント【賃貸借契約書編】
賃貸契約書の内容は物件によって様々です。なぜかというと、契約書の内容には貸主の考え方が反映されているからです。
その契約書の中でも、国土交通省が作成している賃貸住宅標準契約書を参考に、説明します。
※参考:http://www.mlit.go.jp/common/000991359.pdf
①設備について
何が設備で何が設備でないかを確認しましょう。
最近では、借主に初期費用を抑えてもらう目的で、エアコンやシーリングライト、2口ガスコンロを設置している物件も多くあります。
その設備が設備なのか、プレゼント(もしくは残置物扱い)なのかによって、入居後の修繕や交換が貸主負担か借主負担かが変わります。
設備だと思って入居したのに、実は設備保証が無い残置物扱いだったとなると、設備が壊れた際に多額の費用が掛かることもあるのです。
2017年6月2日に公布された民法改正において「賃貸物の一部滅失等の場合の賃料の減額」が規定されました。これは借りている建物(部屋)や設備などに不具合があり、予定通り使用が出来なかった場合、その程度に応じて賃料が減額になるというものです。現行民法では「賃料減額の請求権が発生する」ですが、新民法では「当然に賃料減額」となります。
貸主にとっては、賃料が減額される事は避けたいので、給湯器やエアコンなどの設備を設備保証無しとする場合も今後は出てくる可能性があります。注意が必要です。
②解約について
解約の通知期間と解約月の賃料について確認しましょう。
一般的には解約の通知期間は30日前や1ヶ月前としているところが多いですが、2ヶ月前や3ヶ月前となっている契約もあります。
また、解約月の賃料が日割計算されるのかされないのかも確認しましょう。
解約の連絡をする段階で初めて確認をし、無駄な賃料まで支払う事になる入居者様をよくお見かけしますので、必ず確認しましょう。
③修繕の借主費用負担について
入居中に起こる室内不具合に対して、借主負担で行わないといけない項目を確認しましょう。
賃貸住宅標準契約書においては、
・障子紙の張替え
・ふすま紙の張替え
・電球、蛍光灯、LED照明の取替え
・ヒューズの取替え
・給水栓の取替え
・排水栓の取替え
・その他費用が軽微な修繕
となっています。
基本的には金額が少額で出来るような修繕や消耗品の取替えは借主負担となっている事が多いです。
入居者様より、「電球が切れたから交換してくれ」というような内容のお電話をいただくことがありますが、契約書を見れば、誰の費用負担で交換を行うのかは明らかですよね。
ただ、借主負担であっても、自分で取り替える事に不安がある場合は、専門業者に依頼をしましょう。素人の方が水栓の修繕を行って、漏水を起こしてしまう事もあります。自分では出来ない場合は貸主や管理会社に相談すると良いでしょう。
④原状回復について
借主負担となる原状回復はどのような事項なのかを確認しましょう。
一般的に賃貸マンションの原状回復は〝通常の使用に伴う損耗を除き〟原状に回復しなければならないとされています。
では、通常の使用に伴う損耗とはどんな事をいうのか、それ以外の借主負担となる事項はどのような事項なのかを確認しましょう。
原状回復の借主負担項目がわかっていれば、入居中にその項目に気を配りながら、日々の生活をする事が出来ます。
⑤特約事項について
特約事項の内容について確認しましょう。
特約事項とは、貸主と借主が合意の上で結ぶ項目です。
賃料発生日の規定や石油ストーブ使用禁止の規定、早期解約違約金の規定や退去時のハウスクリーニング代の規定等がよく見かける事項です。
貸主側としては、契約中・解約後の無用なトラブルを避ける為に記載している事項となるので、契約上で大事な事が記載されている場合が多いのです。
2.絶対確認するべきポイント【重要事項説明書編】
重要事項説明とは宅地建物取引業法で義務付けられているもので、契約に関して重要な事項を口頭で借主に説明する事を言います。
契約書をもとに作成をしますので、契約書とほとんど同じ内容となります。契約書と相違がない事を確認しましょう。
ただ、重要事項説明書にだけしか記載が無い項目もあるので、下記項目は絶対確認しましょう。
国土交通省が作成している重要事項説明の様式例を参考に、説明します。
①登記記録に記録された事項について
登記記録には「建物の所有権を持つ登記名義人」と「所有権に関する事項」、「所有権以外の権利に関する事項」が記載されています。
「所有権に関する事項」、「所有権以外の権利に関する事項」が無しの場合は何ら問題はありません。ただ、有りと記載されている場合は注意が必要です。
「所有権に関する事項」に有りと記載されている場合は、差押えや仮差押えがされている場合がありますので、登記簿の確認が必要です。
「所有権以外の権利に関する事項」に有りと記載されている場合は、抵当権がついている場合が多いです。
注意しなければならないのは、万が一所有者が借入の返済を出来なくなった場合です。これらの権利が設定されている物件の借主は、物件が競売にかけられると、6ヶ月間の猶予後、強制的に退去させられ、敷金の返還を受けられない事があります。
しかし、抵当権のみが設定されている物件は数多くあり(借入の際に建物を担保に入れる事が多い為)、所有者が返済を滞納しない限り、大丈夫です。
「仮差押え」「差押え」はすでに滞納が発生している際に設定されるものですので、退去させられる可能性が大いにあると言えます。
②どのような土地なのかについて
災害の危険性がある地域に関しては、危険性があるかの説明がなされます。該当する物件であるのならば、お住まいになる地域の土砂災害警戒区域マップや水害ハザードマップを確認しておき、万が一の備えをする必要があります。
ちなみに、造成宅地防災区域は現在のところ、指定されている地域はありません。
③物件の管理先について
物件の管理先の会社名や連絡先について確認しましょう。入居後は管理会社とのやり取りになる為、こちらに記載がある連絡先を携帯電話等に登録しておくと、何かあった時に連絡がスムーズです。
3.絶対確認するべきポイント【契約金明細書編】
通常の流れでは、契約書と重要事項説明書の確認をし、重要事項説明を受けた後に、契約金の支払いをします。
契約金には、
・翌月賃料・翌月共益費
・その他の月額費用(固定水道代や町会費、ゴミ処理代等)
・敷金
・礼金
・火災保険料
・鍵交換代
・家賃保証会社の初回保証料
・付随サービスの料金
・仲介手数料
があります。
①その他の月額費用について
賃料・共益費以外に月額の費用として掛かるものに関して、確認をしましょう。聞いていない金額が入っている場合は、仲介業者の説明不足か貸主(管理会社)の説明不足の可能性があります。
ただ、月額に掛かってくる費用ですので、削除する事は難しいでしょう。
②鍵交換代について
一般的に入居時には防犯上の理由で鍵交換を行います。
逆に鍵交換の費用が記載されていない場合は、鍵交換が行われずに、入居が出来るマンションである可能性があります。防犯の観点からはおすすめ出来ませんので、鍵
交換を依頼する事をおすすめします。
③家賃保証会社の初回保証料について
賃貸マンションに入居する際には、家賃保証会社と保証契約を交わす事が一般的です。保証会社との契約で、初回保証料が発生します。
連帯保証人を付けるのに、保証会社との契約もしないといけないのか?と考える方もいるかと思いますが、貸主側としては、連帯保証人という個人の保証と、家賃保証の会社に保証されるのとでは、全く意味合いが違います。
④付随サービスの料金
付随サービスの料金とは、例えば、消毒・消臭代や緊急駆けつけサービス代、事務手数料等です。この費用は仲介会社が受領している費用なのか、貸主(管理会社)が受領している費用なのかを確認する事が重要です。
契約書や重要事項説明に出てこない金額が記載されている場合は注意しましょう。私の経験上、契約者から「消毒・消臭代を支払ったのに部屋が臭い」というクレームが入り、弊社では請求していない金額で、実は、仲介業者が請求していたというケースもありました。
仲介業者が管理している物件では無い限り、仲介業者は消毒や消臭、ハウスクリーニングを勝手にする事は出来ませんので、そのような請求をしてくる業者は要注意です。
4.口約束は禁物!必ず書面での確認を!
最後に、冒頭でも申し上げた様に、賃貸借契約は契約書がすべてです。仲介営業マンとの口約束をしたからといって、必ずしもその内容が契約書に記載されるかどうかはわかりません。
初めてのお部屋探しの場合は、言われるがままに契約が進んでいってしまう事もあります。そうならない為にも、12のポイントの確認を是非行ってください。
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