土地や建物などの不動産を鑑定して、適正な金額を算出するのが不動産鑑定士の主な仕事です。不動産取引を適正に成り立たせるのに必要な職業ですが、どのような条件や資格を取得するのでしょうか?
この記事では、不動産鑑定士になるために必要なことや業務内容を解説します。
不動産鑑定士とは?
不動産鑑定士とは、不動産の鑑定評価をするために制定された国家資格です。不動産の鑑定だけでなく、土地の有効活用のためにコンサルティングを行うことも可能です。
公認会計士と並んだ3大国家資格の1つともいわれています。国土交通省が認めている資格で、誰でも受験できる資格です。不動産鑑定士の仕事は独占業務とされています。仕事として不動産の鑑定評価を行えるのは資格取得者のみです。
不動産鑑定士になる条件
不動産鑑定士になるために、不動産鑑定士の国家試験に合格する必要があります。資格試験の中でも難易度が高い試験です。3大国家資格の弁護士や公認会計士と並んでいると考えると、受験の難易度の予想ができるでしょう。
試験は短答式試験と論文式試験があります。短答式試験では、7割程度が基準に土地鑑定委員会が相当と認めた得点以上で合格となります。また論文式試験では6割程度が基準で、土地鑑定委員会が相当と認めた得点以上で合格です。
試験合格率は2020年のデータで、短答式で33.1%、論文式で17.7%となっています。また試験に合格してからは実務修習を受ける必要があります。実務修習期間は、1年、2年のコースが設定されています。
不動産鑑定士の就職先
不動産鑑定士の資格を取得した後は、企業内鑑定士として働くか、独立開業して事業を始めることができます。企業に勤める場合には、不動産会社、信託銀行などで働きます。デスクワークが多くなるだけでなく、現地調査に赴くことも多くなるでしょう。
独立して事務所を構える場合には、自分で営業をして仕事を得ることになります。営業力が自分の収入にもつながるといえるでしょう。
不動産鑑定士の仕事内容
不動産鑑定士の業務内容は、主に不動産を鑑定して適正な評価額を出すことです。鑑定評価以外には、融資を受ける際に担保物件の鑑定評価をしたり、国有財産や公共用地などを取得する際の鑑定評価などもあります。
さらに公示価格の評価や民事訴訟の際に依頼を受けることもあります。また土地の有効活用や税金や法律の相談などのコンサルタントの仕事も業務内容です。
不動産鑑定士の給料
2019年の厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査よると、不動産鑑定士の平均月収(男性)は49万円となっています。年間ボーナスは166万円です。
一般労働者の平均賃金は約30万円と比較すると、不動産鑑定士の月収は平均よりも高くなります。
高度な専門知識と資格が必要な職業なので、他の職業と比較しても高い水準にあります。独立して事務所を構えるのであれば、平均額以上の収入を得ることもできるでしょう。
不動産鑑定士が活躍する場面
不動産鑑定士が活躍する場面をご紹介しましょう。物件の売買以外でも、下記の幅広いシーンで資格が役立ちます。またなぜ不動産鑑定士が必要なのかもご紹介します。
不動産の賃貸
賃貸物件で家賃や地代を判断するために、不動産鑑定士が適切に評価します。貸主や入居者が適切な賃料で契約するために不動産鑑定士が正しく評価するのです。
融資の判断
住宅ローンや会社への融資の際に、担保となる物件を評価する必要があります。鑑定評価書があると、融資額の判断がしやすくなります。また金融機関が判断しやすくなる材料にもなります。
再開発や公共事業
再開発や公共事情において、地価調査や相続税標準地などの評価を行います。また再開発が行われるときには、複雑な権利関係を理解して正しく鑑定します。不動産鑑定士の専門知識が必要とされるのです。
まとめ
不動産鑑定士は不動産を正しく鑑定するのに必要な資格です。難易度は高い資格ですが、高収入が期待できるだけでなく、家や土地の価値判断を支えるやりがいのある仕事です。興味を持っているなら挑戦してみるのはいかがでしょうか?