海外不動産投資は、日本とは異なる資産価値の違いから節税につながることが注目されていました。計上できる経費が違うことから、節税になっていたのです。しかし、こうした節税対策ができない法改正が予定されています。この記事では法改正の内容やおすすめの投資方法をご紹介します。
海外不動産投資は節税につながる?
海外不動産投資は、損益通算によって所得を引き下げることが大きなポイントとなります。また、建物が高く評価される海外不動産では、減価償却の幅を増やすことで節税になりました。
損益通算で所得の引き下げ
不動産投資によって得られた不動産所得は、給与所得と合算することができます。不動産投資の所得は、不動産収入から必要経費を差し引きして計算します。
赤字になる場合には他の黒字の所得を差し引きする損益通算が認められ、こうすることで日本での黒字部分を抑えることができ、日本での所得税や住民税を節税できます。
建物が高く評価される海外不動産
損益通算で所得を引き下げることができていたのも、建物が高く評価される資産価値の違いを利用したものでした。日本では土地と建物では、土地が8割で建物が2割で評価されます。しかし、アメリカでは土地は2割で建物が8割と、建物の方が高く評価されるのです。
この結果として、減価償却による節税効果が日本よりも高くなります。特に日本の税制では、築22年を超えた木造住宅は4年で加速度償却が認められているので、大きな節税効果が期待できます。
日本では木造住宅は価値が下落しやすく、法定耐用年数以上になると価値が大きく低下します。しかし、アメリカでは築年数が古くてもメンテナンスされている家であれば、値下がりすることが少ないのです。
資産価値の違いから減価償却できる割合が異なるので海外不動産投資は節税になってきました。
海外不動産投資が節税につながらない法改正が?
海外不動産投資が場合によっては節税につながらない法改正が予定されています。2020年度の税制改正に所得税法の見直しが予定されており、21年分以降に適応される見通しです。
赤字を増やして課税所得を減らせなくなる
現在では、海外不動産投資で出る赤字と国内の所得を合算できますが、これができなくなる予定です。所得合算では、先ほども解説したアメリカでの資産価値の違いを利用して、減価償却の赤字を出して日本の所得を下げる狙いでした。
しかし、海外不動産投資分の赤字は、なかったことにするのがこの法改正での変更点です。アメリカでの不動産投資は、この節税狙いがあったので、不動産価格に影響を与える可能性があります。今後法改正によって、どのような変化があるのか注目しておきたいところです。
結局のところ払う税金は同じ?
減価償却の損益通算で節税効果が無くなったと思いがちですが、本質を見極めてみると過剰に反応するものでもありません。なぜかというと、減価償却で節税をしたということは、売却時に大きな利益を出し、結果として、売却時に不動産の売却から得た利益から所得税を支払うことになるからです。
つまり、条件によって異なりますが、支払う税金自体は変化していない可能性があるということです。減価償却によってその時に支払う税金は抑えることができますが、売却時まで含めて考えた場合に支払うべき税金はどっちにしろあるのです。
おすすめの海外不動産投資方法
では、法改正が予定されている中で、どのように海外不動産投資を行うべきでしょうか?おすすめなのはインカムゲインとキャピタルゲインを狙う、原点に戻った不動産経営です。さらに詳しく見ていきましょう。
インカムゲインやキャピタルゲイン狙いの物件
節税効果が薄くなるにつれておすすめの投資方法となるのは、インカムゲインやキャピタルゲインを狙う方法です。不動産投資の基本となる方法ですが、節税狙いよりも効果的となる投資となるでしょう。
住宅の需要が高く、建物の価値が上昇している国や地域を識別するなら、海外不動産投資を成功させることができます。
税制の変化に順応しながら不動産投資で節税を
節税対策として、不動産投資が行われてきましたが、税制の変化が今後に大きな影響を与えそうです。不動産投資に関わる税制の変化に順応しながら、不動産投資で成功するために最新情報を取り入れていきましょう。