改正された入管法の内容とは?
入管法は出入国管理及び難民認定法のことで、昭和26年にポツダム命令の一つとして施工された法制度です。
外国人の入国や在留資格について定められた制度ですが、2019年4月から新しく改正された案が注目されています。
改正された入管法の内容や、これによってどのような点が変わる可能性があるのか見ていきましょう。
これまでの入管法
外国人が日本で働きながら住むためには在留資格(ビザ)が必要となり、在留資格の種類が入管法によって決められています。
つまり、在留資格の条件をクリアしていなくては日本に住んで働くことが出来ないのです。
これまでの入管法は、働くことが認められている資格は17種類のみとなり、弁護士や医師など専門性の高いもののみとなっていました。
そのため、単純労働では日本での労働が認められないような状況だったのです。
改正後の入管法
改正された入管法では、新しい在留資格が設けられています。
これまでの入管法では専門性の高い職業のみに限定されていましたが、新制度では14種類の業種に在留資格が適用されることとなり、介護や建設、農業や漁業など人手不足を改善するために外国人労働者を積極的に受け入れる体勢になったのです。
また、日本語能力や仕事のスキルを試験にて確かめ、特定技能1号もしくは2号に認められた場合に労働者として受け入れることになります。
賃貸オーナーが外国人の入居を渋る理由
入管法の改正によって外国人労働者の受け入れ口が広がり、外国人の移住が年々増加することが予想されます。
そうなると、賃貸オーナーとしては外国人の入居の可能性も考えることになります。
しかし、外国人の入居を渋るオーナーも多く、その理由はいくつもあります。
言葉の壁
最も大きな理由としては、言葉の壁です。
賃貸契約に関する手続きや、契約内容に関して言語が違うので100%理解出来ているのかは分からないものです。
仲介業者が言語に合わせた契約書を作成してくれたとしても、何か問題が生じた際には大家として話し合いをしたくても言葉が通じなくては解決が難しいものです。
そのため、日本語を理解している外国人の場合でも入居を渋る大家もいます。
文化の違いがトラブルになるかもしれない
日本とは違った文化となるため、どこまでが日本における基本的なルールなのか分からないケースが多くなっています。
外国ではたくさんの友人や知人を自宅に招待してパーディーを頻繁に行いますが、日本では近所迷惑を考えてしまいます。
また、国によっては香辛料やニンニクといったニオイの強い料理が文化となっていると、日本では周辺住民が気になってしまうものです。
こういった文化の違いが周囲の住民とのトラブルや苦情に繋がる可能性があることから、入居を避けたがる大家が多くなっています。
家賃滞納のリスク
もし家賃の支払いが滞った場合、通常であれば連帯保証人が代わりに家賃を支払うことになります。
しかし、外国人の場合は交渉が難しいので、滞納が長引いてしまう可能性があるのです。
しかも、もし入居者が国外に逃げてしまえば、滞納家賃を追う術がありません。
そのため、大家は家賃滞納に対するリスクを回避するための対策を取らなくてはならないのです。
外国人の入居を受けいれるためにできる準備
日本に外国人労働者が増加する一方で、日本では少子化による人口減少が問題となっています。
そのため、賃貸経営にあたって外国人の入居受入れは、今後必要になるものなのです。
大家としてはどのように外国人の入居を受けいれる体勢を整えるかがポイントとなると言えます。
外国人の入居へ向けて、どのような体勢を整えるべきなのでしょうか?
外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドラインを参考にする
国土交通省は賃貸オーナーや賃貸仲介業者向けに、外国人の賃貸契約や入居を円滑にするためのガイドラインである「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」を公表しています。
日本語の入居申込書や重要事項説明書、契約書などの見本を基に、英語・中国語・韓国語・スペイン語・ポルトガル語の5か国語の見本を掲載しています。
賃貸契約書など言葉の壁に関する問題は、ガイドラインを参考にすることで軽減することができます。
特約事項にルールやペナルティを記載する
文化の違いに関するトラブルや、基本的なルールを理解していない可能性などから外国人入居者を嫌煙しがちですが、契約書の特約時効に守って欲しいルールや、ルールを破った際のペナルティについて記載しておきましょう。
騒音やゴミの出し方などの基本的な部分だけではなく、入居者が家族や友人を無断で住まわせているといったトラブルも起こりがちです。
ペナルティが記載されていれば、何か問題が起きても契約書を見せて納得してもらうことができます。
外国人に対応する家賃保証会社を利用する
外国人入居者の家賃滞納や、家賃を回収できなくなってしまうような状況になってしまうリスクを避けるために、外国人にも対応している家賃保証会社を利用することをおすすめします。
最近では外国人向けの家賃保証会社や管理会社も増加しており、言語対応や文化に合わせた対応もしてくれます。
オーナー自身で解決が難しいことも任せることができるので、外国人入居者の対応はプロに任せることも手段の1つとして利用を考えてみましょう。
まとめ
これからの賃貸経営は、日本人人口の減少と外国人労働者の増加に対応できるように外国人入居者の受け入れ枠を広げることがポイントになります。
入管法の改正によって今後は確実に外国人労働者が増えるので、居住を求める人も増えることになります。
ただし、入居を受けいれるに向けてノウハウと体制を整える必要があります。
外国人に強い保証会社や管理会社と手を組むことも検討してみましょう。