不動産投資信託に投資するとき、投資先となる投資法人では運用はしていません。
投資家からお金を集めて管理することが投資法人の役割で、実際の不動産の管理業務などは資産運用会社が行います。
この記事では投資法人と資産運用会社の関係性と代表的な資産運用会社について紹介します。資産運用会社に興味があればどうぞお読みください。
1.J-REITは上場不動産投資法人
REITは不動産の投資信託です。株式投資や債権投資では投資家本人が株価や市場に応じて個人で判断し取引を行う一方で、投資信託は運用を専門家に委託することができます。
特に不動産へ投資を行って収益をあげる投資信託がREITです。平成12年11月の法改正によって出てきた金融商品です。
REITは株式やFXと同じように一般の投資家でも証券会社や銀行から購入できる「公募投資信託」と、一部の機関投資家にしか提供されていない「私募投資信託」があります。このうち日本で上場している、つまり株式投資やFX投資と同じように証券取引所で売買できる投資法人がJ-REITです。
2.資産運用会社の役割
J-REITでの投資先となる不動産投資法人ですが、法律上、投資法人自らが運用を行うことは禁止されています。投資法人は投資家から資金を募るための器にすぎないのです。
実質的な業務、投資する不動産の選定や日々の管理、運用は外部に委託する必要があり、その委託先として資産運用会社があります。
万が一、資産運用会社が倒産したときでも運用資産に影響を与えず、投資家の資金を保護するためです。ただし元本が保証されるわけではないので注意してください。
3.代表的な資産運用会社5選
それでは上場不動産投資法人の中から代表的な資産運用会社を5社紹介します。
①日本ビルファンドマネジメント
日本ビルファンド投資法人の資産運用会社です。日本ビルファンド投資法人は三井不動産と住友生命保険等が仲となって設立した会社です。
三井不動産をメインスポンサーとするオフィス特化型の運用を行っています。
不動産投資信託のポートフォリオは東京都心部を中心に東京周辺都市部、地方都市部にも分散投資を行っており、地震リスク・空室リスクなどのキャッシュフローリスクの軽減を図っています。
②ジャパンリアルエステイトアセットマネジメント
ジャパンリアルエステイト投資法人の資産運用会社です。ジャパンリアルエステイトは日本で初めて上場した投資法人でもあります。
株主は三菱地所と三井物産で、両者から不動産、金融、リスク管理などのノウハウや人的サポートを受けながら運用していることが強みです。ジャパンリアルエステイトは国内のオフィスビルに特化して、資産規模1兆円を超えるまでになりました。
③三菱商事・ユービーエス・リアルティ
商業施設に特化した日本リテールファンド投資法人、産業用不動産に特化した産業ファンド投資法人、オフィスビルを投資対象とするMCUBS MidCity投資法人の3つのJ-REITを運用する資産運用会社です。
この規模は国内最大級です。
スポンサーは三菱商事株式会社とUBSグループで、不動産市場と金融市場に対する知見を背景に不動産投資信託を作っているという特徴があります。
④オリックス・アセットマネジメント
オリックス不動産投資法人の資産運用会社です。オリックス株式会社の全額出資により2000年9月に設立され、オリックスグループの金融業界と不動産業界で蓄積されたノウハウを発揮して運用を行っています。
1つの不動産に特化するのではなく、オフィス、商業施設、住宅、物流施設と様々な不動産に投資を行う総合型リートで、ポートフォリオの収益性向上を目指しています。
また投資する不動産については外部の不動産管理会社と協働し、直接、オリックス・アセットマネジメントが不動産管理業務を行っていることも特徴です。これにより、柔軟なテナント誘致活動やテナント満足度の向上につながって、安定的な成長を実現することができています。
⑤東京リアルティ・インベストメント・マネジメント
日本プライムリアルティ投資法人の資産運用会社です。オフィスと商業施設の複合型REITとして着実な運用実績を積み重ねています。
株主は東京建物株式会社を始めとしたオフィスビルや商業施設の運営に関わりが深い5社で、その業務で培われたノウハウが運用にも生かされています。
2002年の上場時には921億円だった資産も2013年には4000億円を超えるまでになりしっかりとした資産規模の拡大が進んでいます。投資方針は東京オフィス重点型で、実際に投資対象の80~90%が東京です。
4.まとめ
不動産投資が身近に感じられるようになった不動産投資信託について、投資法人と資産運用会社の関係性、また代表的な資産運用会社とその特徴についてお伝えしました。
不動産投資信託は1口10万円から始められるものもあります。個人では投資することが難しいオフィスビルや商業施設に投資できることが魅力です。
不動産投資を始めたいけど資金がない。なんだか怖い。というときは、不動産投資信託から始めて、不動産投資の知識を身に着けながら実際に現物不動産投資を始めるといいでしょう。