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不動産管理

消防設備点検の必要性とリスク【必ず法令順守しよう】

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1、消防設備点検とは?

消防設備点検の必要性とリスク【必ず法令順守しよう】
不動産を所有している方、不動産の管理をしてる方、その他関連事業に関わっている方は消防設備点検という言葉を一度は聞いたことがあると思います。

消防設備点検とは、

“防火対象物(山林又は舟車、船若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物若しくはこれらに属する物をいう)に敷設されている、
消防設備が有事のときにも滞りなく使用できるよう定期的に点検することです。”

言葉通りです、消防設備は有事の際に人的・物的被害を最小限に抑えるために補助的に、時には表立って活躍するものですが、それらが使用できないなどの不具合が起きている場合、被害が大きくなる可能性があります。火災の被害を最小限に抑えるためにも、消防点検をきちんと行い、常に万全の状態に保つことが肝要です。

2、罰則

消防設備点検に関わる罰則規定に基づき以下のような罰則が科せられます。

”消防用設備等点検の報告を怠ったり、虚偽の報告をした場合や、措置命令を無視した場合などには、消防法第39条2の2の1項に基づき、300万円以下の罰金と3年以下の懲役に処せられます。また、消防法違反が原因で火災が起き死傷者が出た場合は、個人であれば300万円以下の罰金と3年以下の懲役、法人であれば最高1億円の罰金が科せ”られます(消防法第45条第1項第1号引用)

上記記載の通り、消防法に基づき、消防署へ消防設備点検報告を怠る、虚偽の報告、措置命令の無視」などを行った場合は、300万円以下の罰金と3年以下の懲役に科せられること。

また消防法違反が原因で火災が起き、死傷者が出た場合は、300万円以下の罰金と3年以下の懲役、法人であれば最高1億円の罰金という重たい罰則が定められています。

3、消防点検が必要な物件

消防設備点検の必要性とリスク【必ず法令順守しよう】
では物件に対し「どのような点検が必要で、年何回必要か?」記します。
まずは法律の視点から見てみます。

消防設備点検・報告について

消防法
第十七条の三の三 引用
“第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければなりません。”

上記消防法の解釈として留めておきたい事は、

➀どのような物件であっても、消防設備点検は行わなくてはならず、定期的な消防署への報告を行わなくてはならない。

ということです。

加えて、1年間に行うべき点検として、主に機器点検(6ヶ月に1度)、総合点検(1年に1度)があります。
機器点検・総合点検は種類及び点検内容に応じて、”一年以内に消防庁長官が定める期間ごとに行うものとする”という取り決めがなされています。(消防法施工規則第31条の6第1項引用)
物件ごとに必要な点検と点検回数は消防署に確認する必要がありますが、
1年間に必要な点検は機器点検(6ヶ月に1度)と総合点検(1年に1度)ということです。

4、点検箇所

消防設備点検の必要性とリスク【必ず法令順守しよう】
次に実際、点検時には何をどのように行うのか?についてお話しします。

6ヵ月に1度の機器点検時には、
非常用電源、動力消防ポンプの正常な作動、機器の適正な配置・損傷等の有無その他の外観から判別できる事項。簡易な操作により判別できる事項の確認をします。

1年に1度の総合点検時には

”消防用設備等の全部もしくは一部を作動、又は使用しての確認を行います。
(消防法施工規則第31条の6・平成16年消防庁告示第9号引用)

どのような点検を行うかについては、物件に設置されている消防設備によって異なるので、確認方法として消防設備点検を行っている業者を通し消防署に確認をするか、直接消防署に確認するかです。

5、リスク

消防設備点検の必要性とリスク【必ず法令順守しよう】
定期的に点検を行うことが取り決められていますが、
定期的な点検を怠っている中で、不幸にも有事があった際のリスクを考えます。

2001年歌舞伎町の4階建て雑居ビルにて死者44名をも出す火災がありました。
火元は3階部分のエレベーター付近で原因は放火とされていますが、未確定。
ビル内の避難通路が確保されていなかったこと、自動火災報知機の設置はされていたが誤作動が多い為、電源は切られていた。また、4階天井は火災報知機ごと内装材で覆われていたこと、避難器具は3階には未設置で4階避難器具は実質使える状態ではなかったことが被害を大きくしたようである。
 

管理責任として、
当ビルは消防庁から使用禁止命令が出され、事件後の保存処分期間を経て、遺族らとの和解(オーナーらから和解金:10億円の支払い)が成立の後、解体されました。

上記確認いただくとわかっていただけるように、消防設備に不備があるにもかかわらず、改修が行われていないことが明らかです。

避難器具が設置されていないこと・使えない状態であったことを考えると、消防設備点検・消防署への報告も行われていなかったのではないかと考えられます。

結果として、業務上過失致死等でオーナーら側から被害者遺族らに和解金が支払われて決着がついています。

このように、様々な外的要因等はあるにしても、法律で定められていることを行っていない(ことが要因の)為に多額を支払わないといけない結果になりえる可能性があります。
適切な点検・報告を行い、自らに火の粉がかからないように努めることが肝要かと思います。

北川 謙吾

五條たなかの柿の葉寿司で有名な奈良県五條市の山奥で育った、真面目男子。以前は証券会社で務めていて、不動産業界は2年目。父が現場仕事をしていた事や、家では薪ストーブを焚いて暖を取るといった環境で育った為、身の回りの事はなんでも取り組もうとする性格!! 緊急の現場には業者さんが来るまで被害が大きくならないよう駆けつけ、対応する身軽さを売りに入居者、オーナーに不安を抱かせまいと頑張っています。女家族で育ったため、主婦的視点も持ち合わせ、興味関心事は多岐にわたります。独自の価値観から多様な切り口で記事を執筆したいと考えている。

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