もくじ
1.共同住宅のごみ問題、こんな時どうする?
アパートやマンションなどのごみ置き場はなぜトラブルが起こりやすいのでしょうか。事例を見ながら考えましょう。
【事例1】ごみ出しのルールを守らない入居者がいる
近年、各自治体のごみ分別のルールが複雑になっています。
燃やすごみ、燃やさないごみ、資源ごみ、ペットボトルなど何種類にもごみを分類する、ペットボトルはラベルをはがす、ごみの種類によって出す場所、曜日が異なるなどのルールが自治体によって異なります。
地域によって、ごみ出しのルールが変わるので、入居者に悪意がなくても、ごみ出しの日時やルールを勘違いしてしまうこともあります。
入居者は別の地域から引っ越ししてきた人が多いためです。
また、ごみ出しのルールやマナーがあることを理解していながら、面倒だという気持ちなどがあって守らない人も見受けられます。
共同住宅の人間関係は、戸建て住宅よりも希薄なことが多いため、責任感が薄れることが原因と考えられます。
また、近年、地方でも外国人の人を多く見かけるようになりましたが、彼らは、ごみ出しについての意識が日本とは違う、日本語で書かれた分別収集のルールが理解できないなどの理由でルール違反をしてしまうケースがあります。
【事例2】 近隣住民や通行人による不法投棄
アパートの入居者専用のごみ置き場に、通行人や近隣住民がごみを捨ててしまうケースがあります。
共同住宅の住人には、隣に誰が住んでいるか分からない人が多くいます。
不法投棄する人は誰が出したか分からないからいいだろう、という気持ちでごみを置いていきます。
この場合、きちんと分別されていないごみが不法投棄されていることが少なくありません。
せっかく入居者がルールを守ってごみを出しても、部外者が分別もせず不法投棄してしまうのは腹立たしいものです。
【事例3】
こんなケースがありました。
外国人入居者が母国に帰るため退去しました。
退去立会は行わず、帰国後部屋に入ってみると、次の人が手ぶらで来ても生活できるのではないかというほど、物が残してありました。
本人は帰国してしまい、まったく連絡がつかなくなってしまったそうです。
入居者の友人(外国人)に話を聞くと、退去の際に物を撤去するという約束を理解していなかったようでした。
このケースは契約時の説明不足に大きな原因がありましたが、日本人でも処分費を払いたくないために引越しに伴って出たごみや不要な家具家電を、故意に室内に残したまま退去してしまう人がいます。
2.入居者からのクレームがあった場合は?
とくに粗大ごみが共用部分やごみ置き場にあると、入居者からクレームがきます。
その際は、できるだけ早く対応し、ごみ置き場を清潔な状態に保ちましょう。
クレームがあった後は、できるだけクレームが生じないような環境を作り、入居者にも周知しておきましょう。
当面の間、ごみをきちんと出す習慣がつくまで、大家さんはこまめに現地に行って整備するようにしましょう。
ごみ置き場が清潔に保たれていると、自然と清潔な環境を好む人が入居するようになるものです。
根気がいることですが、効果があるので頑張ってみてはいかがでしょうか。
ただし、ごみを勝手に開封して、捨てた人を特定するなど、行きすぎた行動はルール違反になるので注意が必要です。
ごみ置き場に近い部屋と、ごみ置き場から遠い部屋を比べると、ごみ置き場近くの部屋は悪臭や騒音などに悩まされがちで、家賃を下げることにもなりかねません。
ごみ置き場近くの部屋からクレームが出ないような環境づくりを目指しましょう。
3.マンションやアパートに放置された粗大ごみは誰に処分の責任がある?
常識から考えても、マンションやアパートに放置された粗大ごみを片付ける責任は、ごみを捨てた本人にあります。
大家さんや管理会社に、敷地内に放置された粗大ごみを処分する義務はありません。
しかし、誰が捨てたものか判断が難しい場合も少なくありません。
いつまでも粗大ごみを放置するのは、ほかの入居者へも迷惑がかかるため、大家さんや不動産会社が費用を負担して処分をするというケースが多いのも事実です。
①ごみを捨てさせない環境づくりが解決の早道
ごみの放置を防ぐためには、事前に対策することが重要になります。
退去時に粗大ごみを残されないようにするには、契約書に書いておくことが有効です。
契約書には
「入居者は退去時には必ず粗大ごみを適切に処分し退去すること。退去後○○日以内の期間を以て処分をしない場合は、借主、又は連帯保証人に連絡し処分する。もしくは貸主が処分し、その費用を実費で借主が負担することをあらかじめ了承することとする。」
などの特約をつけておき、重要事項説明の際に説明し、了承を得ておくべきです。
また、退去の連絡を受けた際に必ず粗大ごみの有無を確認するようにしましょう。
同時に粗大ごみがある場合は、ごみ券の購入と担当のごみ回収センターに連絡をするように伝え、処分の方法を伝えておくべきです。
どうやって粗大ごみを処分したらよいか分からない人は意外に多いのです。
自分が住んでいる間はともかく、退去するなら汚してもいいだろうと、敷地内に粗大ごみを放置したまま退去する人がいます。
退去の際は必ず立ち会ってもらうようにして、ごみを残させないような状況にしましょう。
②不法投棄を防ぐには
粗大ごみが外部の人間による不法投棄の場合は、誰にごみ処分をさせるべきか分からないため、大家さんが費用を払って片づけるケースがほとんどです。
不法投棄は明らかな犯罪ですので、頻繁にごみが投棄される、または、大量の粗大ごみを投棄されたというときは、警察や行政に相談すべきです。
不法投棄させないためには
•監視カメラの設置
•夜間照明の設置
•ごみ捨て場に鍵を取り付ける
•注意喚起の警告文を張る
などの対策を施しましょう。
とくに、監視カメラによる撮影は、大変効果があり、警察に相談する際の物的証拠もできるのでおすすめです。
カギの取り付けは入居者にとっては不便ですが、外部の人間が登記したかどうかの判断ができます。
導入にコストは伴いますが、粗大ごみの放置が客付けに悪影響を及ぼすのを考えれば、投資する価値があるのではないでしょうか。
4.女性が入居したくなるマンションづくりを
女性の入居者が少ない、あるいは女性入居者の退去が目立つ場合は、環境整備が十分でないのではと疑ってみましょう。
ごみ置き場に原因がないかもチェックするポイントの1つです。
ごみ置き場の環境が良くないと、カラスやネコがごみ置き場の周辺をうろつく、見知らぬ人がごみを捨てていくなど、衛生状態や防犯面において不安になるものです。
女性は男性に比べそういうことに敏感です。
・ごみ置き場がきちんと清掃されているか
・捨てたごみが他の人から覗かれないようになっているか
・悪臭が漂っていないか
をもう一度点検しましょう。
5.まとめ
ごみの問題は、入居者に不快感を与えるだけはありません。
環境が整備されていない物件には、マナーが悪くても気にならない人が入居してくるものです。
必然的にトラブルが起こる可能性は高くなり、物件自体の価値が下がってしまいます。
環境美化は物件のグレードを上げることにつながります。
ごみ問題をなくすことで、家賃を下げずに投資できると考えれば、少しの労力と投資も無駄にはなりません。
もしも、あなたの物件に放置されている粗大ごみや分別されていないごみが捨ててあったら、健全なキャッシュフロー維持のために、率先して対処してみませんか。